ANCA関連血管炎

ANCA関連血管炎：原因、症状、診断、治療

ANCA関連血管炎(ANCA関連血管症)は、血液中に抗好中球細胞質抗体(ANCA)が検出されることを特徴とする、血管の炎症を伴う疾患群です。毛細血管や細動静脈など、比較的小さな血管が主に障害されます。AAVと略されることもあります。

ANCA関連血管炎の分類

ANCA関連血管炎は、その原因によって大きく2つに分類されます。

1. 原発性ANCA関連血管炎: 原因不明の発症です。以下の3つの疾患に分類されます。
多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
顕微鏡的多発血管炎(MPA)
[好酸球性多発血管炎性肉芽腫症]
2. 続発性ANCA関連血管炎: 薬剤の副作用などによって誘発されるものです。[プロピルチオウラシル]などの抗甲状腺薬や、ヒドララジンなどの降圧薬などが原因となることがあります。

ANCA関連血管炎の症状

ANCA関連血管炎は、非常に多彩な症状を示すことが特徴です。症状は、炎症が起こっている血管の部位によって異なります。主な症状は以下の通りです。

全身症状: 発熱、体重減少、倦怠感、筋痛、関節痛、関節炎など。
皮膚病変: 紫斑、潰瘍、壊疽など。皮膚の血管が炎症を起こすことで、様々な皮膚症状が現れます。
粘膜・眼病変: 口腔潰瘍、鼻出血、眼球突出、結膜炎、視力障害など。眼や粘膜の血管も炎症を起こしやすいため、様々な症状が現れます。
耳鼻咽喉病変: 鼻出血、副鼻腔炎、難聴など。鼻や耳、喉の血管の炎症によって起こります。
呼吸器病変: 喘鳴、咳、呼吸困難、喀血など。肺の血管が炎症を起こすと、呼吸器症状が現れます。
心臓血管病変: 心臓痛、狭心症、心不全など。心臓の血管の炎症による症状です。
消化器病変: 腹痛、血便、消化管出血など。消化管の血管が炎症を起こすと、消化器症状が現れます。
腎臓病変: 高血圧、蛋白尿、腎不全など。腎臓の血管が炎症を起こすことで、腎臓機能に影響が出ます。
神経病変: 頭痛、神経痛、脳卒中、末梢神経障害など。神経系の血管の炎症によって起こります。

バーミンガム血管炎活動性スコア version 3 (BVAS v3)などのスコアを用いて、病気の活動性を評価します。

ANCA関連血管炎の診断

診断には、血液検査によるANCAの検出が重要です。GPAではPR3-ANCA（c-ANCA）、MPAではMPO-ANCA（p-ANCA）が多く検出されます。EGPAでは、腎臓の病変がない場合はANCA陽性率が低いですが、腎臓病変を伴う場合は陽性率が高くなります。画像検査（レントゲン、CT、MRIなど）や生検なども行われ、他の疾患との鑑別診断を行います。鑑別診断においては、悪性腫瘍、感染症、薬剤性血管炎、他の血管炎、自己免疫疾患などを除外する必要があります。

ANCA関連血管炎の治療

治療は、ステロイド薬（プレドニゾロン）と免疫抑制剤（シクロフォスファミドなど）が中心です。近年では、リツキシマブ（抗CD20抗体）も有効な治療薬として用いられています。リツキシマブは、再発抑制効果も高いことが示されています。治療目標は、炎症のコントロールと臓器障害の予防です。

最後に

ANCA関連血管炎は、様々な臓器に影響を与える重篤な疾患です。早期診断と適切な治療が重要です。症状が出現した場合は、速やかに医療機関を受診してください。

注意: この情報は医療的な助言ではなく、一般的な知識です。個々の治療法については、医師に相談してください。

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