AN/ALE-50

AN/ALE-50曳航型デコイシステム

AN/ALE-50は、アメリカ合衆国が1996年から導入した自己防衛兵器で、航空機を敵の対空ミサイルから保護することを目的とした曳航型デコイシステムです。このシステムは、アメリカ空軍および海軍とレイセオン社との共同事業によって開発され、飛行テストや実際の戦闘での性能が検証されています。実際のデータでは、AN/ALE-50は様々な地対空および空対空ミサイルの発射に対し、その無効化に成功しており、現在では空軍、海軍、海兵隊、さらにはイスラエル空軍などの複数の航空部隊によって運用されています。

システム構成

AN/ALE-50は、一般的に航空機の翼下に設置される制御装置、格納/繰り出し機構、そして曳航デコイ本体から構成されます。制御装置はデコイの動作を管理し、監視し、電源を供給します。デコイ本体は密封された円筒形のキャニスターに収納されており、約10年間の使用が可能です。

各航空機への対応

• - F-16 フェイティング・ファルコン: AN/ALE-50が最初に搭載された機体で、制御装置と2台のデコイを組み込んだ一体型格納機構が搭載されています。これにより、1機のF-16は最大4台のデコイを運用できるようになっています。

• - F/A-18E/F スーパーホーネット: この機体には、1台のIMPLC（Integrated Multi-Platform Launch Controller）と、3台のデコイが収容できる格納部が設置されており、最大3台のデコイを使用可能です。

• - B-1 ランサー: この戦略爆撃機では、2台のIMPLCと4台のデコイ格納部を2つ組み合わせることで、1機あたり最大8台のデコイを運用することができます。

動作原理

AN/ALE-50が使用される際、デコイは母機の後方にケーブルで接続され、敵のミサイルに向けて強力な電波を放出します。この際、敵のミサイルが自身のレーダー波を発信していた場合でも、AN/ALE-50は発信した電波が反射波として解釈されることで、母機の正確な位置を欺くことが可能です。これにより、敵のミサイルが母機を誤認して、目標から逸れるよう誘導され、航空機および搭乗員の安全を確保します。

実戦使用と今後の展望

1996年にF-16に初めて実装されたAN/ALE-50は、ボスニア、コソボ、アフガニスタンなどの様々な戦場で運用され、その効果を証明してきました。アメリカ陸軍のパイロットたちからは「小さな相棒」と愛称されています。さらに、AN/ALE-50は統合脅威防御システムであるAN/ALQ-184(V)9とも統合されており、今後も多様なプラットフォームへの搭載が見込まれています。最新の計画では、2010年までに1,048台の出荷が予定されています。

これにより、AN/ALE-50は戦闘機の電子戦能力を高め、航空機の生存率を向上させる重要な役割を果たしています。

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