AN/FPS-117

AN/FPS-117: 先進的な3次元レーダーシステム

AN/FPS-117は、アメリカのロッキード・マーティン社によって開発された高度な3次元レーダーシステムです。このレーダーは、航空警戒能力を向上させるための先進的な技術を採用しており、静止式のAN/FPS-117を基本に可搬式のAN/TPS-117やその改良型AN/TPS-77などが派生しています。

開発の背景

AN/FPS-117の開発は、1977年に始まりました。ニューヨーク州グリフィス空軍基地内にあるローム航空開発センター（RADC）では、シーク・イグルー（SEEK IGLOO）計画として予備研究が行われました。このプロジェクトの目的は、アラスカ航空軍団の航空警戒能力の近代化を図ることにありました。1983年9月30日、RADCはディスプレイとインディケータの試験を完了し、その年にFPS-117が戦闘配備の準備を整えました。

技術的特性

FPS-117は北方警戒システム（NWS）の主要なレーダーとして機能しており、またベルリン・テンペルホーフ国際空港で使われていた古いAN/FPS-67の後継モデルでもあります。1999年から2000年にかけては、大規模なアップデートが実施され、さらなる性能の向上が図られました。

このレーダーは、フェーズド・アレイ・アンテナを搭載しており、300個の半導体素子が配置されています。水平方向の回転方式を採用しており、その回転速度は6rpmです。使用周波数はLバンド（1215〜1400 MHz）で、3.4°×2.7°のペンシルビームを形成できます。このシステムは、18チャンネルでのランダムな周波数ホッピング機能を持っているため、より高い精度での物体検出が可能です。

国際的な利用状況

AN/FPS-117はアメリカ軍以外にも広く採用されています。2006年までに127基が世界各国に輸出され、多くの国々で使用されています。以下は、主な導入国のリストです。

• - アイスランド
• - イタリア
• - エストニア（2003年以降）
• - オーストラリア（1997年以降）
• - カナダ
• - 韓国（鬱陵島に配備され、竹島上空の監視に使用）
• - クウェート（1993年以降）
• - クロアチア
• - サウジアラビア（17基の導入）
• - 台湾（中華民国）
• - デンマーク（2007年以降）
• - ドイツ（1991年以降、制式呼称RRP-117）
• - トルコ
• - ブラジル（2009年以降、制式呼称TPS-B34）
• - ベルギー
• - ラトビア（2003年以降）
• - パキスタン
• - ハンガリー
• - ルーマニア（1998年以降）
• - ヨルダン

AN/FPS-117は、その先進性と汎用性から、世界中で重宝されています。それにより、航空警戒能力の向上だけでなく、国際的な安全保障にも寄与しています。今後もこの技術の進化と導入が期待されることでしょう。

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