AR 〜忘れられた夏〜

『AR〜忘れられた夏〜』は、2006年2月24日にCIRCUSより発売された、18禁指定のパソコン用アドベンチャーゲームです。CIRCUSとTOPCATによる共同開発で、Microsoft Windows 98/Me/2000/XPに対応していました。初回限定版には「白河家秘伝掛け軸」とアレンジサウンドトラックが、予約特典にはオリジナルミニドラマCDが付属しました。

本作は、CIRCUSの前作『水夏』の過去を描いた作品であり、『水夏』のキャラクターである「名無しの子」と「メデス」が登場します。都会から離れた静かな村「天之村」を舞台に、主人公・伊萩滝と、記憶を失った謎の少女「お嬢」を中心に物語が展開します。

物語は大きく分けて2つのパートで構成されています。

Tier1〜天之村の夏〜では、主人公である伊萩滝が、不思議な少女と出会うことから物語が始まります。少女は記憶喪失で自分の名前すら覚えておらず、「お嬢」と呼ばれています。彼女は言葉を話す猫のぬいぐるみ「メデス」を常に抱いています。滝は「お嬢」を自分の住むアパートに招き入れ、アパートの住人達との交流が始まります。しかし、次第に滝は奇怪な夢を見るようになり、「お嬢」とメデスは姿を消してしまいます。さらに、滝のアパートは火災に見舞われ、住人の聖が行方不明になります。その後、聖は発見されますが、死者が生き返るという異常事態が発生します。メデスの導きで神社に向かう滝ですが、そこで滝に似た青年「ロウ」と遭遇します。ロウの解放と同時に、地震が発生し、全てが崩壊してしまいます。

Tier2〜崩壊する夏〜では、滝が目覚めると、目の前には白い少女、メデスが眠っていました。彼女は「南天星君」と名乗り、お嬢のことを「北天星君」と説明します。「天之村」が「天国」であり、その崩壊という事実を告げ、滝はロウを敵と認識し、現世へと降り立つことになります。

登場キャラクターは、主人公の伊萩滝を始め、幼馴染の吉野凛、アパートの管理人である松矢七菜、頭脳明晰な中羽聖、白河家の令嬢である白河つみれ、神社の巫女である飛鳥都、喫茶店店長の鍬谷将、その父である鍬谷拳、海の家店長佐古誠三、聖の知り合いの大学助教授金堂幸司、滝と瓜二つのロウなど個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。さらに、ドラマCDオリジナルキャラクターとして玉城優弥と手代木臣が登場します。

キャラクターボイスは、名無しの子にありす、メデスに海原エレナ、吉野凛に長澤ゆみ、松矢七菜に岩田由貴、中羽聖に立花舞、白河つみれに木村あやか、飛鳥都に野神奈々といった豪華声優陣が起用されています。ドラマCDでは、伊萩滝に野島健児、鍬谷将に谷山紀章、鍬谷拳に井上和彦、金堂幸司に吉野裕行、佐古誠三に家中宏、ロウに三木眞一郎、玉城優弥に市来光弘、手代木臣に小西克幸が声を当てています。

制作スタッフには、プロデューサーのtororo、ディレクターの鷹取兵馬、原画には天羽真理、かゆらゆか、かどつかさ、犬神藤丸といったそうそうたるメンバーが名を連ねています。

主題歌は、妖精帝國が担当し、オープニングテーマ『あしたを許して』、エンディングテーマ『menimi』、挿入歌『Vermilion Tiara』の3曲が収録されています。作詞は畑亜貴、作曲・編曲は橘尭葉が担当しました。

また、小説版（パラダイムノベルス）全3巻や、ドラマCD『AR 〜another epilogue〜』全3巻といった関連商品も発売され、ゲームの世界観をさらに深く楽しむことができます。2006年12月22日にはファンディスク『C.D.Christmas Days 〜サーカスディスク クリスマスデイズ〜』が発売され、白河つみれのシナリオが追加されました。

『AR〜忘れられた夏〜』は、個性豊かなキャラクター、謎めいたストーリー、そして美しいイラストと音楽が融合した、魅力的な作品です。

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