ARENA37℃

ARENA37℃：音楽シーンを彩ったJ-POP専門誌

ARENA37℃は、音楽専科社が発行していた、日本のポップミュージック（J-POP）を扱う月刊音楽雑誌です。毎月10日に発売され、熱心な音楽ファンから長年にわたって支持を集めていました。

熱気あふれる創刊と30年以上の歴史

1982年10月、ARENA37℃は「ミュージシャン参加の生活必需マガジン」というサブタイトルを掲げ、鮮烈なデビューを飾りました。創刊号の表紙は、当時の音楽シーンを象徴するRCサクセションや細野晴臣といった著名なミュージシャンに加え、ビートたけしの名前も掲載されているなど、豪華な顔ぶれが話題を呼びました。興味深いのは、現在の音楽雑誌では一般的となっているミュージシャンの写真ではなく、タバコを吸う女性のイラストが表紙を飾っていた点です。この大胆なデザインは、雑誌の持つ独自性を鮮やかに表現していました。

その後、ARENA37℃は長きに渡り、日本の音楽シーンを克明に記録し続けました。数々のアーティストのインタビューや撮り下ろし写真、音楽評論などを通して、時代の音楽トレンドやアーティストたちの素顔を紹介。多くの読者にとって、音楽を深く理解し、楽しむための貴重な情報源となりました。

2013年9月号をもって休刊するまで、日本の音楽史に深く刻まれた雑誌として、多くの音楽ファンの記憶に今も鮮やかに残っています。

「37℃」の真意：微熱のような親密感

雑誌名に含まれる「37℃」は、体温の少し高い状態を意味する「微熱」を表しています。創刊号には「高みの見物はゆるしません。微熱37℃気分でアリーナへおいで!!」という力強いキャプションが添えられていました。この言葉は、音楽評論というよりも、アーティストの素顔や魅力を伝え、音楽ファンとアーティストをより身近に繋ぐことを目指していた同誌の姿勢を象徴的に表しています。

つまり、ARENA37℃は、専門的で距離感のある音楽批評誌とは一線を画し、読者とアーティストとの距離を縮め、親しみやすい雰囲気の中で音楽を共に楽しむ場を提供することを目指した雑誌だったと言えるでしょう。アーティストへの深い愛情とリスペクト、そして音楽への情熱が、誌面の隅々にまで感じられました。

音楽誌の進化とARENA37℃の功績

ARENA37℃は、日本の音楽雑誌の歴史において重要な位置を占めています。創刊当時の音楽シーンを反映した大胆な誌面デザイン、アーティストとの距離の近さ、そして長年にわたる継続は、後世の音楽雑誌にも影響を与えたと言えるでしょう。日本の音楽文化の発展に貢献した、記憶に残る音楽誌として、その功績は高く評価されています。休刊から時が経ってもなお、多くの音楽ファンから語り継がれる存在であり続けるでしょう。

もう一度検索