AT Lady!

『AT Lady!』：美少女ロボット刑事と天才警部のドタバタコメディ

『AT Lady!』は、岡野剛氏（旧名：のむら剛）による日本の漫画作品であり、氏のデビュー作にして唯一の「のむら剛」名義作品です。1988年に第28回赤塚賞を受賞し、『週刊少年ジャンプ』に掲載された後、1989年から1990年にかけて連載されました。集英社より「ジャンプ・コミックス」レーベルで全2巻が発売されていますが、連載の打ち切りや作者の負傷による単行本制作の遅れなど、数々のエピソードが物語に彩りを添えています。

近未来を舞台にした、ロボット刑事たちの活躍

物語は、高度な科学技術の発達によりロボットが普及した2001年の近未来が舞台。増加する科学的犯罪に対抗するため、警視庁は「Automatic-Tec（オートマティック・テック）」プロジェクトを発足させます。若き機械工学の天才、春田純一警部は、このプロジェクトの開発と運用を担うことになります。

春田警部の手腕により、6体の女性型ロボット刑事「AT Lady（オートマティック・レディ）」が開発・運用され、一定の成果を収めます。しかし、春田警部は、これらの計画で廃棄された部品を用いて、新たなロボット刑事「AT7号」を開発します。

天然ボケな美少女ロボット刑事AT7号

AT7号は、その出自ゆえに、世間知らずで天然ボケな性格の持ち主。常に騒動を巻き起こす彼女の行動は、作品全体に笑いを誘う大きな要因となっています。

AT7号は、黒髪ロングヘアの美少女型ロボットで、エナメルホワイトの制服を着用。ミニ四駆タイプのパトロールカー「あさぼらけ号」を駆り、7万馬力のパワーを誇りますが、その性格ゆえにトラブルに巻き込まれることもしばしば。低電圧のため朝に弱く、気が動転すると物を投げる癖もあります。しかし、どんな攻撃にも耐える丈夫な体と、6人の姉たちが持ち得なかった「ひたむきさ」と「やさしさ」で、様々な事件に立ち向かいます。

個性豊かなAT Ladyと個性的な敵たち

AT Ladyは、それぞれ個性的な性格と専用マシンを持ちます。

1号: ゴールドの制服、バイク「皇号」を駆る巨乳美女で、少年好き。
2号: ブルーグリーンの制服、移動指令車「魁号」を使用する頭脳派。
3号: イタリアンレッドの制服、小型飛行機「飛燕号」で空を駆け巡る格闘のプロ。
4号: モーブシャドーの制服、パトロールカー「韋駄天号」を操る走り屋気質の少女。
5号: サファリオレンジの制服、装甲車「毘沙門号」とX線レーザーキャノンを駆使する戦闘のプロ。
6号: ライムグリーンの制服、大型輸送ヘリコプター「雷神号」と様々な探知機を駆使する鑑識のプロ。

これらの個性豊かなAT Ladyと、春田警部、そして様々な犯罪者たちとの間で繰り広げられる騒動劇は、下ネタを交えたギャグ満載です。悪の組織の首魁である松戸狂授、彼の助手である吉田くん、悪の戦闘員たち、そしてAT Ladyに対抗するために作られた美少女ロボ「ブラッディ・ミサ」など、個性的な敵キャラクターも作品を盛り上げます。

作者の苦労と作品への想いが伝わる単行本

単行本2巻には、作者である岡野氏がバイク事故で右手を負傷したことが記されています。この事故が単行本の発行を遅らせた要因の一つとされており、作品への情熱と制作の苦労が感じられます。

『AT Lady!』は、笑いと涙、そして個性豊かなキャラクターたちによる、記憶に残る作品です。連載の打ち切りという残念な幕切れではありましたが、その独特の世界観と、作者の想いが込められた作品として、今も多くのファンに愛されています。

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