ATCコード C

ATCコード C（循環器系）

ATCコード（解剖治療化学分類法）は、国際連合の世界保健機関（WHO）によって開発・維持されている、医薬品およびその他の医療用品を体系的に分類するための国際的なコード体系です。この分類法は、医薬品が作用する解剖学的な主要臓器・器官系、その治療的な目的、そして化学的な性質に基づいてコードを割り当てることで、世界中の医薬品に関する情報を整理し、比較・分析を容易にすることを目的としています。

ATCコードは、アルファベットと数字を組み合わせた階層構造を持っています。最も上位の第一レベルは、医薬品が作用する主要な解剖学的部位や臓器系を示すアルファベット１文字で構成されています。この第一レベル分類のうち、アルファベット「C」が示すのが「循環器系」です。

分類「C」には、心臓、血管、血圧など、循環器系の疾患や状態に対して用いられる様々な医薬品が含まれます。例えば、心臓の機能不全を改善する薬、高血圧を治療する薬、不整脈を抑える薬、コレステロールを下げる薬などがこのカテゴリーに分類されます。この主要な分類「C」の下には、さらに詳細な治療目的や化学構造に基づいた第二レベル以降の分類（C01、C02、C03など）が設けられており、より具体的な医薬品のグループへと細分化されていきます。このような体系的な分類により、世界各国の医薬品の使用状況を統計的に把握したり、疫学的な調査を行ったりすることが可能となり、公衆衛生の向上に貢献しています。

なお、ATCコードはもともとヒト用医薬品のために設計されたものですが、獣医学の分野で動物用医薬品を分類する際にもこの体系が応用されています。動物用医薬品の分類には、「ATCvetコード」と呼ばれるものが用いられ、これはヒト用のATCコードの先頭に「Q」という文字を付加することで識別されます。例えば、循環器系の動物用薬であれば「QC...」のように表記されます。これにより、ヒト用と動物用とを区別しつつ、分類体系の整合性を保っています。

また、WHOによって定められた既存のATCコード体系で全ての医薬品を網羅できない場合や、特定の国で独自に使用されている医薬品等がある場合には、内国レベルでの対応として、WHOが将来的な使用のために予約している未使用のコード範囲内を用いて、各国が独自の分類コードを追加・拡張して使用することが認められています。これは、国際的な分類体系の原則を維持しつつ、各国の実情に合わせた柔軟な運用を可能にするための仕組みです。

総じて、ATCコード C（循環器系）は、国際的な医薬品分類体系の重要な一部であり、循環器系疾患治療薬の分類を通じて、医薬品情報の国際的な標準化と分析に貢献しています。

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