AV事務所

AV事務所とは

AV事務所（アダルトビデオ事務所）は、アダルトビデオ（AV）に出演するAV女優のマネジメントを行う芸能事務所です。AVプロダクションとも呼ばれます。AVメーカーにAV女優を売り込み、出演料を折半する形で運営されています。AVメーカーとは異なり、制作・販売は行いません。

AV事務所の歴史

1980年代のAV黎明期、AVメーカーが事務所を設立したのがルーツです。当初は直接雇用でしたが、出演者の権利保護のため別組織化されました。現在もAVメーカーと密接な関係を持つ事務所が多く存在します。

AV女優の人権保護や給与問題に対応するため、2017年には業界有志により「日本プロダクション協会（JPG）」が設立されました。大手プロダクションが多数加盟しています。その後、JPG非加盟のプロダクションが「第二プロダクション協会（SPA）」を設立。現在では、どちらかの協会に加盟する事務所に所属していなければ、適正なAVに出演できない状況です。

以前は、一般的な芸能事務所の一部門としてAV女優を抱えるケースもありました。しかし、現在はAV事務所として独立していることがほとんどです。

日本の法律では、性行為を労働とみなすことが禁止されています。そのため、AV事務所は「個人事業主であるAV女優が、マネジメントを外部委託する」という契約形態をとっています。この点が、一般的な芸能事務所と似た構造であると言えます。

AV事務所の種類

かつては営業方法の違いから、単体系と企画系に分けられていましたが、近年は両方の要素を併せ持つ事務所が増えています。AV女優引退後のタレント活動を支援する事務所も登場しています。

事務所の規模によっても、女優の売り出し方が異なります。大規模事務所、中規模事務所、小規模事務所と区分されていますが、これは公式サイトに掲載されているモデル数だけでなく、未掲載の在籍者数も考慮されます。

AV事務所の役割

AV事務所の主な役割は、AV女優という仕事のリスクを説明し、人権を保護すること、金銭やスケジュールを管理することです。事務所は所属タレントを守る義務がありますが、タレントが業界のルールに反した場合、責任を追及することもあります。

ギャラの配分は、AV女優、事務所、マネージャーで分けられます。マネージャーは、スカウト活動によるバックマージンで収入を増やすこともあります。

海外ではエージェントが活用されることが多いですが、日本ではプロダクションがなければ搾取に遭いやすいと指摘されています。

業界のルールと裁判、金額

AV出演を拒否した元グラビアアイドルに対し、事務所が損害賠償を求めた裁判例があります。裁判では、請求額が大幅に減額されましたが、AV業界の特殊な事情が背景にあります。

AV女優の出演料は、経験や人気によって大きく異なります。また、事務所との契約内容によっても、収入は変動します。

AV女優には、単体女優、企画単体女優、企画女優といった種類があり、それぞれギャラが異なります。マネージャーにとっては、AV女優のスカウトや営業だけでなく、体調管理や精神面のケアも重要な仕事です。

未成年者の出演を防ぐための年齢確認も徹底されています。18歳未満の出演は犯罪となるため、事務所は慎重に対応しています。

2017年以降は、AV人権倫理機構により、プロダクション締結者でないとAV作品での性行為の撮影は行わないこととなりました。フリーランスの女優は、「フリーAV女優連盟」に所属し、SPAに加盟して撮影に臨んでいます。

2019年からは、出演者に総ギャラを開示することが義務付けられました。これにより、事務所ごとの取り分の違いが明確になり、事務所移籍が活発化しました。

2024年にAV人権倫理機構が解散すると、AV女優からの金銭未払いに関する訴えが相次ぎました。業界全体を監視する団体の必要性が改めて認識されています。

AV業界は、社会の変化や法規制の影響を受けながら、常に変化を続けています。AV事務所は、AV女優が安心して活動できる環境を提供するために、重要な役割を担っています。

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