AWC

AWC (オールホイールコントロール) - 三菱自動車の四輪制御技術

三菱自動車は、1990年代から四輪駆動車の走行性能向上を目指し、独自の四輪制御技術「AWC (All Wheel Control)」を開発しました。AWCは、単なる四輪駆動システムではなく、より高度な車両挙動制御を目指した三菱独自の開発思想に基づいています。

AWCの進化

初期のAWCは、四輪駆動システムにLSD(リミテッドスリップデフ)、4WS(4輪操舵)、AYC(アクティブヨーコントロール)といった技術を組み合わせることで、走行安定性と操縦性を向上させることを目指しました。具体的には、ギャランやパジェロなど、様々な車種にAWCの要素技術が搭載されました。

しかし、2001年以降、AWCは新たな段階へと進化します。ランサーエボリューションに搭載されたACD(アクティブセンターデファレンシャル)を中核に、ASC(アクティブスタビリティコントロール)やトラクションコントロールシステムと統合制御することで、より高度な車両挙動制御を実現しました。このシステムは、個々の車輪の駆動と制動を電子制御により最適に制御し、あらゆる状況下で安定した走りを目指します。

AWCとS-AWCの違い

ACDを中核としたAWCは、その後、スーパーAYC(スーパーアクティブヨーコントロール)と組み合わせることでさらに進化し、「S-AWC (Super All Wheel Control)」として生まれ変わります。S-AWCは、ACDに加えて後輪デフも電子制御することで、より精密な駆動配分を実現しました。AWCとS-AWCの大きな違いは、後輪デファレンシャルの電子制御の有無です。S-AWCは、AWCよりも高度な制御システムと言えるでしょう。

AWCの制御内容

AWCは、単にドライバーの操作を補助するだけでなく、路面状況や車両状態を様々なセンサーで検知し、電子制御によって最適な駆動配分と制動制御を行うシステムです。そのため、ドライバーが意図的に車両挙動をコントロールできるわけではありません。むしろ、電子制御によってドライバーが意識することなく車両が安定した挙動を保つように設計されています。ただし、この高度な制御システムゆえに、ドライバーはAWCの特性を理解し、それに合わせた運転をする必要があります。

AWCのメリット

AWCは、路面状況の悪い状況下でも優れた走破性を発揮します。これは、電子制御された流体継ぎ手を用いた駆動配分によって、従来のセンターデフを持たないシステムに比べて、駆動力が各車輪に効率よく伝わるためです。また、AWCは走行安定性の向上にも大きく貢献し、ドライバーはより安心して運転に集中できるでしょう。

AWC採用車種

AWC、またはその発展型であるS-AWCは、数多くの三菱車に搭載されてきました。代表的な車種としては、以下のものがあります。

ランサーエボリューション
アウトランダー
アウトランダーPHEV
デリカD:5
* ギャランフォルティス (ラリーアートグレード)

まとめ

AWCは、三菱自動車が長年培ってきた四輪制御技術の集大成と言えるでしょう。その高度な電子制御システムは、ドライバーに安心して運転できる環境を提供すると同時に、四輪駆動車の可能性を大きく広げました。AWCの進化は、今後も三菱自動車の技術開発において重要な役割を果たしていくと考えられます。

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