AXS REMIX BEST TRACKS

『AXS REMIX BEST TRACKS』

アルバム概要

『AXS REMIX BEST TRACKS』は、日本の音楽ユニットaccessが1996年3月25日にリリースしたリミックスアルバムです。当時の所属レコード会社であったファンハウスから発売されました。accessは、キーボーディストの浅倉大介とボーカリストの貴水博之によって結成され、シンセサイザーを駆使した高速かつ緻密なデジタルサウンドと、パワフルなボーカル、そしてエネルギッシュなライブパフォーマンスで1990年代に一世を風靡しました。彼らの音楽は、ダンスミュージックやテクノポップの要素を多分に含んでおり、リミックスという手法と非常に高い親和性を持っていました。本作は、そうしたaccessのサウンドをリミックスという形で再構築した楽曲を集めた企画盤として制作されました。

企画内容と収録楽曲

このアルバムは、accessの正規の活動計画に基づいて制作された作品というよりは、レコード会社であるファンハウス側が主導して企画されたものです。その収録内容は、これまでに発表されたリミックス音源からセレクトされた楽曲を中心に構成されています。具体的には、1994年に立て続けにリリースされた4枚のリミックスシングルに収められていた楽曲の中から、厳選された6曲が収められました。

これらの既発曲に加え、『AXS REMIX BEST TRACKS』のために新たに制作された、あるいは本作で初めてCD化されたリミックス楽曲が3曲収録されています。これにより、単なる既発音源の寄せ集めではない、新たな要素も加わった構成となっています。

さらに、ボーナストラックとして特筆すべきは、accessのサウンドクリエイターである浅倉大介が自身のソロ名義で1995年に発表した楽曲「COSMIC RUNAWAY」のリミックスバージョンが収録されている点です。これはaccess名義のアルバムでありながら、メンバーのソロワークにもスポットを当てたユニークな選曲と言えるでしょう。これらの既発、新録、ボーナストラックを合わせて、全10曲のリミックスバージョンが収録されています。

商業的成功と公式扱い

本作は、企画盤でありながら、リリース後には累計で4.5万枚という販売実績を記録しました。これは、accessの根強い人気と、彼らのリミックスワークに対するファンの関心の高さを示すものと言えます。当時のCD市場において、企画アルバムとしては十分なセールスであったと言えるでしょう。

しかし、『AXS REMIX BEST TRACKS』には、他の多くのaccessのアルバムとは異なる決定的な特徴があります。それは、accessというユニット、そしてメンバーである浅倉大介および貴水博之の公式なディスコグラフィやバイオグラフィには、原則としてこのアルバムが記載されていないという点です。

この公式リストからの除外は、前述の通り、本作がファンハウスが自社のアーカイブ音源を活用し、市場向けに企画した作品であるという背景に由来します。アーティスト自身の制作意図やリリース計画とは直接的に結びつかない作品と見なされているためと考えられます。accessの作品の中には、1995年に同じくファンハウスからリリースされたベストアルバム『AXS SINGLE TRACKS』も、同様にレコード会社主導の企画盤であり、公式ディスコグラフィには記載されない傾向にあります。

このように、『AXS REMIX BEST TRACKS』は商業的な成功を収めつつも、アーティストの公式な作品系列からは外れた、特殊な位置づけにあるアルバムと言えます。これは、当時の音楽業界におけるレコード会社の企画力が生んだ一方で、アーティストとレーベルの関係性を示す興味深い事例でもあります。

まとめ

『AXS REMIX BEST TRACKS』は、accessの高速デジタルサウンドがリミックスによってどのように変貌を遂げるかを示す、ファンにとっては興味深い音源集です。公式作品ではないという特異な立場にありながらも、過去のリミックスシングル収録曲や初収録音源、さらには浅倉大介ソロ曲のリミックスまでを含むその内容は、accessサウンドの多様性を知る上で価値のある一枚です。累計4.5万枚というセールスは、この非公式とも言えるアルバムが、当時の音楽シーンにおいて確かに受け入れられた証でもあります。accessの音楽的な広がりや、当時のレコード会社の企画戦略を知る上で、無視できない存在と言えるでしょう。

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