AXS SINGLE TRACKS

accessの軌跡を辿る初期ベストアルバム

『AXS SINGLE TRACKS』は、日本の音楽ユニットであるaccessが1995年10月1日に世に送り出したベストアルバムです。本作は、当時の所属レコード会社であるファンハウスから発売されました。

このアルバムは、accessが1995年の一時的な活動休止に入る直前に企画された作品であり、彼らのデビューからそれまでの軌跡をシングル曲を中心に集約しています。具体的には、1stシングル「VIRGIN EMOTION」から、11thシングル「TEAR'S LIBERATION」に至るまでの、全てのシングルの表題曲（A面）が網羅されています。これら初期のシングル群には、シンセサイザーを駆使したダンスミュージックと親しみやすいメロディーを融合させた、当時のaccessのサウンドを象徴する楽曲が多く含まれています。

加えて、オリジナルのスタジオアルバムには収録されなかった貴重な音源も収められています。それは、シングルのカップリング曲として発表された「EVERY TIME YOU」と「US」です。これらの楽曲は、初期accessの音楽性をより深く理解する上で重要なピースであり、このベストアルバムによって容易にアクセスできるようになりました。このように、『AXS SINGLE TRACKS』は、活動初期のおよそ3年間に発表されたシングル作品を軸に構成されており、accessの音楽的な変遷を辿ることができる内容となっています。

市場における本作の反響は大きく、販売枚数は20万枚を超えるヒットを記録しました。これは、当時のaccessが持つ人気と影響力を示すものであり、彼らの楽曲が多くの音楽リスナーに受け入れられていた証と言えるでしょう。ベストアルバムという形態で主要な代表曲が一枚にまとまっている点が、リスナーにとって魅力的だったと考えられます。

初リリースから数年を経た2002年3月20日には、本作は音質の向上が図られたリマスタリング盤として再発売されています。この再発盤はBMG JAPANよりリリースされ、よりクリアでダイナミックなサウンドで楽曲を楽しめるようになりました。これは、活動再開後のaccessを知った新たなファンや、改めて彼らの初期作品を高品質な音で聴きたいという需要に応えるものでした。

ただし、『AXS SINGLE TRACKS』には特筆すべき背景があります。実質的にはaccessにとって初めてのベストアルバムと言える位置づけでありながら、アクセス公式のディスコグラフィや、メンバーである浅倉大介氏、貴水博之氏それぞれの公式な作品リストには、このアルバムの名前は記載されていません。これは、当時のレコード会社であるファンハウスが、アーティスト側の意向とは別に、独自に企画・制作を進めた経緯によるものです。そのため、多くのファンにとってはaccessの重要な作品の一つとして認識されている一方で、公式な位置づけとしてはやや特殊な扱いとなっています。

『AXS SINGLE TRACKS』は、1995年のaccessの活動における一つの節目として発表された、彼らの初期シングル群を網羅したベストアルバムです。公式にはリストアップされないという事情を持ちながらも、多くのリスナーに支持され、初期accessサウンドを現代に伝える重要な作品として位置づけられています。

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