Abaqus

Abaqusは、アメリカのHKS社によって開発された有限要素解析ソフトウェアです。現在は、ダッソー・システムズがSIMULIAブランドとして開発・販売を行っています。ソフトウェアの名称である「ABAQUS」は、ギリシャ語の「abax(ἄβαξ)」に由来し、「砂をかぶった板」を意味します。古代ギリシャでは、砂を敷き詰めた板の上に数字を書いて計算を行っており、これが中国の算盤（abacus）の語源にもなっています。以前は全て大文字表記でしたが、商標変更により現在の「Abaqus」という表記になりました。トレードマークもかつては中国算盤を模した図柄でしたが、現在はよりシンプルな算盤風のデザインとなっています。

概要

Abaqusのプロジェクトは、主に以下の3つの要素で構成されています。

1. Abaqus/Standard：陰解法を用いた一般的な有限要素解析ソルバーです。
2. Abaqus/Explicit：陽解法を用いて、高度な非線形過渡運動や準静的解析を行います。
3. Abaqus/CAE：FOX toolkitを基盤としたGUIで、統合的なモデリング（前処理）環境と可視化（後処理）環境を提供します。

AbaqusはPythonで記述されており、その汎用性の高さから、自動車、航空宇宙、工業製品などの多岐にわたる産業分野で利用されています。また、モデリングの柔軟性やカスタマイズ性の高さから、学術研究分野でも広く活用されています。

特に、Abaqus/Standardは、静的な構造解析や熱解析など、比較的安定した現象の解析に適しています。一方、Abaqus/Explicitは、衝撃解析や大変形を伴う解析など、短時間で急激に変化する現象の解析に強みを持っています。Abaqus/CAEは、これらのソルバーを利用するためのインターフェースとして機能し、複雑なモデルの作成や解析結果の可視化を効率的に行うことができます。

Abaqusは、その高度な機能とカスタマイズ性によって、多様な解析ニーズに対応できる強力なツールです。そのため、最先端の研究開発や高度な製品設計において、不可欠なソフトウェアとなっています。

外部リンク

SIMULIA

脚注

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