Abcd協会

abcd協会

abcd協会（エービーシーディーきょうかい、仏: art brut connaissance & diffusion）は、アール・ブリュットと呼ばれる芸術分野の知見を深め、その普及を図ることを目的とした非営利の研究機関です。1999年、フランスにおいて、映像作家であるブルノ・デシャルム氏と映像プロデューサーのバーバラ・サファロヴァ氏を中心に設立されました。現在、協会の会長はサファロヴァ氏が務めています。

協会は設立当初からフランスの首都パリに拠点を置いて活動しており、2002年からはチェコのプラハにも新たな拠点を設け、活動範囲を広げています。

主な活動

abcd協会は、アール・ブリュットの研究とともに、その魅力や重要性を広く伝えるための様々な活動を展開しています。

ギャラリー運営: 2005年3月からは、フランスのモントルイユに専門のギャラリー「abcdギャラリー」を開設・運営しています。このギャラリーでは、主に後述するブルノ・デシャルム氏のコレクションから選ばれた作品が展示され、アール・ブリュットの作品を直接鑑賞する機会を提供しています。ギャラリーでの展示は研究や普及を目的としており、作品の販売は行っていません。
出版活動: アール・ブリュットに関する書籍や資料の出版を通じて、この分野の研究成果や作家の情報などを発信しています。
記録映画制作: アール・ブリュットの作家やその創作活動に焦点を当てた記録映画を制作し、映像という媒体を通して芸術家の内面や作品世界の理解を深める試みも行っています。
コレクション蒐集・研究: 協会の活動の根幹の一つに、ブルノ・デシャルム氏によるアール・ブリュット作品の大規模なコレクション蒐集とその研究があります。

ブルノ・デシャルム氏のコレクション

共同設立者であるブルノ・デシャルム氏は、長年にわたりアール・ブリュット作品の情熱的な蒐集家として世界的に知られています。彼のコレクションは、1985年にスイスの作家アロイーズ・コルバスの作品を購入したことを契機に始まりました。以来、精力的に作品を蒐集し続け、2005年の時点でおよそ2000点にも達する規模となっています。現在もコレクションは増え続けています。

このコレクションの大きな特徴は、その網羅性と多様性にあります。フランス国内の作品に限定されることなく、日本を含むアジア、ヨーロッパ、南北アメリカなど、世界各地の作品が収められています。また、歴史的な作品から現代の作家まで、幅広い時代の作品が含まれています。特にデシャルム氏は、まだ美術の世界ではあまり知られていない、あるいは埋もれている可能性のある新しい才能や作家を発掘し、その作品をコレクションに加えることに力を入れています。これは、アール・ブリュットの新たな側面に光を当て、その地平を広げることに貢献しています。

蒐集された作品は、単なる個人的な所有物ではなく、アール・ブリュットの研究や後世への継承を目的としています。前述のabcdギャラリーでの展示のほか、国内外での展覧会に貸し出されることもあります。コレクションは非売品であり、商業的な目的ではなく、芸術そのものへの深い敬意と研究への情熱に基づいて築かれています。

ブルノ・デシャルム氏とabcd協会は、将来的にこれらの貴重なコレクションを常設展示し、より多くの人々がアール・ブリュットに触れることができる美術館を設立する構想も抱いています。これは、アール・ブリュットというユニークな芸術表現を社会に定着させ、その価値を広く認識してもらうための重要なステップとなるでしょう。

abcd協会は、アール・ブリュットの研究機関として、また普及活動を推進する団体として、この分野の発展に不可欠な役割を果たしています。

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