An-10 (航空機)

An-10 について

An-10（アントノフ10）は、ウクライナのアントノフ設計局が開発した4発ターボプロップ旅客機です。これは、戦後ソ連で初めて本格的に開発された四発機であり、その開発過程では「U」または「ウクライナ」という愛称が付けられていました。また、北大西洋条約機構（NATO）はこの機体に「キャット」（Cat）というコードネームを与えました。

概要

An-10は、より小型の双発機An-8の大きなバージョンとして設計されました。1957年3月に初飛行を実施した後、同じ年の同月にはその改良型である貨物輸送機An-12も成功裏に初飛行しました。An-10の特筆すべき点として、横安定性の向上を図るために水平尾翼の両端に補助フィンが設置されていることが挙げられます。

この機体は1959年から路線運航を開始し、結局108機が生産されました。後期型のAn-10Aでは、旅客数が最大110名まで拡張され、補助フィンは取り外されました。その代わり、胴体の末尾下部にベントラルフィンが追加され、機体の安定性が向上しました。

An-10は主にアエロフロート・ソビエト航空とソ連空軍に運用されていましたが、その運行履歴には多くの事故が含まれています。実際、12件の事故において371名が犠牲になっています。

特に注目すべきは、1972年5月に発生したアエロフロート1491便の墜落です。この事故では、製造から11年しか経過していない機体が巡航中に構造的な欠陥により主翼が破断し、胴体が地面に衝突しました。この事故の影響で、アエロフロート・ソビエト航空はAn-10の運航を停止し、1978年には完全に引退となりました。

スペック

• - 全長: 37.00 m
• - 全幅: 38.00 m
• - 高さ: 9.80 m
• - 翼面積: 120 m²
• - 機体重量: 30,500 kg
• - 最大離陸重量: 55,000 kg
• - 最大速度: 725 km/h
• - 巡航速度: 660 km/h
• - エンジン: イーフチェンコ設計局製AI-20ターボプロップ×4（2,995 kW）
• - 最大上昇高度: 10,000 m
• - 航続距離: 4,000 km
• - 乗員: 3名
• - 乗客: 100-110名

関連項目

• - An-8
• - An-12
• - An-22
• - Il-38
• - Be-12 チャイカ
• - Mi-6

詳細や事故情報については、 Airdisaster.com を参照してください。

もう一度検索