An-180 (航空機)

An-180（アントノフ180）

An-180は、ウクライナの航空機メーカー、アントノフが設計を試みた中型旅客機です。この構想は1991年にパリ航空ショーで発表されましたが、残念ながら実現しませんでした。

概要

An-180は、当初提案された計画によれば、以下のような特徴を持つ構想されていました。

プロップファンの搭載

この機体は、伝統的なターボファンやターボプロップエンジンではなく、逆回転のプロップファンを搭載する双発機として設計されました。具体的には、ターボプロップエンジンであるプログレス設計局製D-27を使用し、このエンジンを機体の後部に取り付けます。また、エンジンが水平尾翼の端に位置し、牽引式の設計が採用される予定でした。この設計により、最高速度は800km/hに達することができ、燃料消費も抑えられることを期待されていました。

広い胴体と快適な座席配置

An-180は、ワイドボディとセミワイドボディの中間の胴体幅を持ち、通路を二本有することで、余裕のある座席配置を提供します。このことから、乗客にとって非常に快適な旅客機となる狙いがありました。

開発の背景

アントノフの研究者たちは、An-180を1995年までに開発する計画を立てていました。しかし、ソビエト連邦の崩壊とそれに伴う経済的な混乱が発生し、他の新しい航空機の開発計画と共に、An-180も実現しない結果となりました。とはいえ、アントノフ社は別のプロジェクトとしてAn-70輸送機の開発に成功し、プロップファンの搭載にも成功しています。

その他のプロップファン機の開発

An-180と同様に、プロップファンを採用した他の機体の構想もありました。ソ連のヤコブレフ設計局はYak-46の派生機として検討し、アメリカのマクドネル・ダグラスはGE-36 UDFを搭載したMD-94Xの開発を進めていました。また、ボーイング社もボーイング7J7の開発に取り組んでいたものの、エンジン開発の遅れや利用する航空会社の見込みの薄さから、これらのプロジェクトも実現には至りませんでした。

要目仕様（計画値）

An-180の計画された性能要目は以下の通りです：

• - 運航乗務員：2名
• - 乗客：175名
• - 全幅：35.60m
• - 翼面積：127m²
• - 全長：43.00m
• - 高さ：4.30m
• - 最大離陸重量：71,700kg
• - 機体重量：42,500kg
• - 最大搭載貨物：18,000kg
• - エンジン：イーウチェンコ＝プロフレース D-27 プロップファン双発（10,210kW / 13,880馬力）
• - 巡航速度：800km/h
• - 最大上昇限界高度：10,100m

この情報は、原田哲夫著の『ジェット旅客機 その系譜と変遷』に記載されています。

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