An-30 (航空機)

An-30について

An-30（ロシア語: Ан-30）は、ソビエト連邦で開発された観測機です。この飛行機は偵察や輸送の目的でも使用され、十分な性能が求められます。アントーノフ設計局によって作られたAn-24を元に設計されており、通称「クランク」というNATOコードネームで知られています。

開発の経緯

An-30の開発は、アントーノフ設計局によるAn-24の観測機型An-24FKを基にしています。FKは「fotokartograficheskiy」の略で、写真を用いた地図作成の機能を指します。機体の前方部分に多くの改良が施され、視界の向上を目指しました。特に、コックピットの改善やガラス製の機首が設計に組み込まれ、観測時の視認性が大きく向上しました。1971年からは生産が開始され、最初のモデルが完成しました。

1975年にはパリ航空ショーでの展示を経て、正式にNATOコードネームが決定され、1980年までにその生産が完了しました。

機体の特徴

An-30は、乗員人数がAn-24の4名から7名へと増加しました。新たに加わったオペレーター2名の席により、さまざまな観測機器を効果的に運用する体制が整いました。また、機首部分には「ベランダ」と呼ばれる観測スペースが設けられており、レーダーは小型のドップラー・レーダーに変更されましたが、その性能には限界があったため、一部機体には更なる改良が施されました。

撮影用の窓が胴体に取り付けられており、必要に応じて閉じることができる設計となっています。これにより、窓のひび割れを防ぎつつ、着陸時に小石が機体に当たるのを避けることが可能です。機体側面の窓は多くが省略されており、以前のモデルとは異なった特徴を持っています。搭載されるカメラは、3つの機器が機体の中心下部に配置され、左右に28度の角度で取り付けられています。これにより、高度2000〜7000mの間で広範囲の撮影を実施することができました。

型式と運用

An-30にはいくつかのバリエーションが存在し、それぞれ異なる目的に応じた機能を備えています。例として、An-30Aは民間型、An-30Bはソ連空軍向け、An-30Dは長距離型の改造機として知られています。また、An-30Mは気象制御に特化した機体で、人工降雨や雹の影響を軽減するために活用されました。

An-30は記念式典などでも使用され、1982年にはアフガニスタンでの航空写真作成任務にも従事しました。しかし、作戦中に2機が失われる事故があり、その内の1機は1985年にアフガニスタンのカブール近郊でのミサイル攻撃で損傷を受けました。

技術仕様

An-30の主な技術的な特徴としては、7名の乗員、全長24.26m、全高8.32m、翼幅29.2mを誇ります。また、最大速度は540km/hで、航続距離は2630kmと非常に優れた数値を示しています。

この機体は、ソビエト連邦をはじめ、ロシアやウクライナ、キューバ、そして中国などでも運用され、国際的にも広く知られています。各国の空軍や民間航空会社で用いられることで、An-30は影響力のある航空機となりました。

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