An-8 (航空機)

An-8（Ан-8）

An-8は、ソビエト連邦が開発した双発輸送機で、アントーノフ設計局が設計を担当しました。NATOコードネームは「キャンプ（Camp）」です。この航空機は、1950年代に設計が始まり、特に軍用輸送機としての役割を果たしました。

開発の経緯

1951年12月、ソビエト連邦の第153試作設計局が、双発の戦術輸送機「DT-5/8」の設計に着手しました。この計画は、クズネツォフTV-2ターボプロップエンジンを2基搭載し、空中投下機能を持つ設計が特徴です。1953年には、ソビエトの閣僚会議により、正式にこの機体の開発命令が出されました。

計画の進行に伴い、機体の安定性や操縦性におけるいくつかの問題が指摘されました。具体的には、スピンしやすいための操縦の不安定さ、着陸時の難しさ、パイロットの疲労を引き起こす運動特性などです。さらに、エンジンであるTV-2は、高度6,000m以上での始動に難しさが見られました。

その後、航空機は再設計を受け、機体の構造やエンジンが改良されました。最終的には、Izdeliye Pという名称のもとに新たな設計が固まり、An-8という型番が付与されました。1957年から1961年にかけてタシュケントのGAZ-34工廠での量産が始まりました。

特徴と性能

An-8は、乗員6名を乗せることができ、貨物室は与圧されていない設計となっています。また、後部には有人機銃が搭載されています。全長26m、翼幅30mという巨体を持ち、ペイロードは19,000kgであるため、大きな物資を積載できる能力が魅力です。

同機は検査を経て1958年に量産初号機が完成し、その後、AI-20Dエンジンの性能向上が図られました。最大速度610km/h、巡航速度480km/hで、航続距離は2,780kmに達します。

運用実績

大半のAn-8はソ連空軍で使用され、1968年のプラハの春に対応するため、特殊部隊を搭載した2機がプルゼニへ着陸しました。また、電子偵察機としても数機が運用され、一部は大気サンプリングの任務も遂行しました。

1970年代まで運用された後、アエロフロート・ロシア航空に多くの機体が譲渡され、再び貨物運送に活用されました。しかし、1990年代初頭にはいくつかの事故が影響し、早々に退役が進みました。だが、一部の機体は中東やアフリカの国々でも使用が続けられ、型式証明やサポートが打ち切られたのは2004年のことでした。

まとめ

An-8は、ソビエト連邦の戦術輸送機として画期的な存在であり、高い輸送能力と多用途性を兼ね備えていました。その特徴的なデザインと多方面にわたる運用により、今なお多くの人々に記憶されています。また、過去の歴史におけるその役割は、航空機の発展における重要な一歩となっています。

もう一度検索