Ar 396 (航空機)

アラドAr 396の概要

アラドAr 396は、第二次世界大戦終息に向かう1940年代初頭、ドイツにおいて設計された高等練習機です。この機体は、先行機であるAr 96を改良したモデルとして登場しました。アラド社は、フランスのSIPA社やチェコのレトフ社と共同で開発を進めましたが、戦争の影響による資源の制限から、生産には木材を使用した部分が多く見られます。具体的には、胴体や翼の主要構造部分に木製素材が採用され、コストを抑える工夫がされていました。

設計と初飛行

この機体は、1944年12月に初めて空を舞い、その性能は概ね良好とされました。初飛行の成功は、アラド社にとって大きな成果となりましたが、当時のドイツの戦局が厳しいものであったため、練習機としての量産体制を整える余裕は全くありませんでした。その結果、アラドAr 396は試作機を含むわずか5機程度しか製造されず、量産機の展開には至りませんでした。

終戦後の展開

終戦を迎えた後、SIPA社はこの機体の各部を改良し、自社ブランドとして約200機を生産しました。これによりアラドAr 396の設計がフランスでも利用され、練習機の需要に応じる形で展開が進められました。

派生型

アラドAr 396には、いくつかの派生型が存在し、それぞれ異なる用途に応じた仕様が提供されました。

• - Ar 396A-1: 単座の射撃練習機
• - Ar 396A-2: 武装を持たない計器飛行訓練機
• - SIPA S.10: フランスにおいて生産されたAr 396のバージョンで、28機が製造
• - SIPA S.11: ルノー 12Sを装備したS.10の改良型で、50機がフランス空軍向けに製造
• - SIPA S.12: S.11の全金属製版で、52機がフランス空軍向けに製造
• - SIPA S.121: S.12の改良版で、58機がフランス空軍向けに製造されました。

スペック

アラドAr 396の主要な仕様は以下の通りです。

• - 全幅: 11.0 m
• - 全長: 9.29 m
• - 全高: 2.45 m
• - 機体重量: 1,721 kg
• - エンジン: アルグス As411TA1（600 hp）
• - 最大速度: 350 km/h
• - 航続距離: 600 km
• - 武装: 7.92mm機関銃×1
• - 乗員: 2名

関連項目

アラドAr 396は、練習機の開発における重要な役割を果たしました。多様な派生型の開発は、戦後の航空機設計にも影響を与え、航空関連の歴史にその名を刻みました。

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