Ar 76 (航空機)

アラド Ar 76 概要

アラド Ar 76は、1930年代にドイツで開発された単発の高等練習機です。この機体は単座式であり、パラソル翼の形状を持っています。アラド社は、ドイツ航空省の要求に基づいてこの航空機を設計し、非常時には軽戦闘機としても利用できる機能を持たせることを意図しました。

特に、Ar 76は「郷土防衛戦闘機」計画の競作機の一つであり、1935年にはフォッケウルフFw 56およびハインケルHe 74との比較試験が行われました。しかし、不運にもこの試験ではFw 56が選ばれ、主に生産されることになりました。しかし航空省からの好意的な評価のおかげで、Ar 76も少数が製造されることとなりました。

機体の構造

Ar 76の機体は、胴体部分が鋼管骨組みに羽布を張った設計となっており、エンジン周りは金属で構成されています。また、木製のパラソル翼も羽布で覆われていました。これにより、構造的な強度と軽量化を両立させることができました。さらに、固定式の主脚と尾輪を装備しており、操縦士による取り扱いも容易でした。

性能諸元

Ar 76の性能は以下の通りです。

• - 全長: 7.20 m
• - 翼幅: 9.50 m
• - 全高: 2.50 m
• - 翼面積: 13.40 m²
• - 自重: 750 kg
• - 最大離陸重量: 1,070 kg
• - エンジン: アルグスAs 10C 空冷倒立V型8気筒エンジン 240 hp (1基)
• - 最高速度: 267 km/h
• - 航続距離: 470 km
• - 実用上昇高度: 6,400 m
• - 武装: 7.92 mm機関銃 (戦闘機型は2丁、練習機型は1丁)、10 kg爆弾 ×3
• - 乗員: 1名（操縦士）

これらのスペックは、特に高等練習機としての役割を果たすために必要な性能を備えていました。最大速250 km/h以上を記録し、ある程度の軍事的な運用も考慮に入れた設計となっています。

バリエーション

アラド Ar 76にはいくつかのバリエーションがあります。

• - Ar 76a: 試作1号機は1934年末に完成しました。
• - Ar 76 V2: 試作2号機。
• - Ar 76 V3: 試作3号機。
• - Ar 76A: 主要生産型で、単座の高等練習機です。製造された台数は少なく、特に航空省に一定の評価を得ていました。

結語

アラド Ar 76は、その独自の設計思想と性能によって1930年代のドイツにおいて注目されましたが、時代の波に翻弄される形で大規模な生産には至りませんでした。それでもこの機体は、高等練習機としての意義を持ち続け、記憶されています。

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