Atomic Heart

『Atomic Heart』

『Atomic Heart』は、人気バンドMr.Childrenの4枚目のオリジナルアルバムであり、1994年9月1日にトイズファクトリーから発売されました。このアルバムは前作『Versus』から約1年ぶりのリリースで、バンドの音楽的な方向性が大きく変わるきっかけとなりました。

アルバムの背景とリリースの経緯

プロデューサーの小林武史は本作において、バンドがこれまでの恋愛をテーマにした楽曲から、より精神的な探求へとシフトしたことを強調しています。ボーカルの桜井和寿も、このアルバムに関するインタビューで、「過去のロマンティックでセンチメンタルな要素を少し抑え、愛情とは何かを深く考える歌詞を書こうと思った」と述べており、科学的な視点から人間関係を見つめ直しているといえます。

アルバムのジャケットはシンプルで、青い背景に小さく「Mr.Children・Atomic Heart」と表記されています。このブルーバックは、収録シングルである「innocent world」の仮タイトルが「innocent blue」であったために選ばれました。また、アートディレクターは信藤三雄が担当しました。初回限定盤には水色のプラスチックスリーブとCDケースが用意され、歌詞カードは無地でシンプルな仕様です。あらゆる面で新しい試みが行われ、本作は初めてインストゥルメンタル曲が収録されたアルバムとしても知られています。

アルバム内には複数のシングル曲が収録され、いくつかの曲は後にベスト・アルバムにも登場していますが、5thシングルのカップリング曲「my confidence song」は本作には収録されていません。

チャート成績と影響

『Atomic Heart』はリリース後、累計売上が343万枚を超え、Mr.Childrenのアルバムの中で最も多く売れた作品となりました。また、1994年当時の邦楽アルバムとしても歴代の記録を打ち立てており、男性アーティストのオリジナルアルバムでは最高の売上を記録しました。特に初動売上は85.2万枚であり、オリコンチャートで初動売上100万枚に到達せず、300万枚を突破した唯一のアルバムです。

収録曲の解説

本作には多彩な楽曲が収められています。

• - Printing: プリンターの音で構成されたインストゥルメンタルで、桜井はこの曲が「Dance Dance Dance」と繋がっているというイメージを持っています。
• - Dance Dance Dance: さまざまな仮タイトルが考えられたこの曲は、ライブでの定番曲となっており、打ち込まれたスネア音が印象的です。
• - ラヴ コネクション: シングルとしてもリリースされたこの曲は、ライブで盛り上がることを意識して作られています。
• - innocent world: アルバムの中心的な楽曲となり、代表的シングルとして親しまれています。
• - ジェラシー: 愛情の背景にある壮大なテーマを扱った実験的な楽曲です。
• - Round About 〜孤独の肖像〜: 夜の都市の景色がインスピレーションとなったといわれ、この曲はアルバムの中で最もテンポが速く、印象的なナンバーです。

桜井和寿の独特な視点から、楽曲ごとにさまざまなテーマが盛り込まれており、聴き手に深いメッセージを伝える作品となっています。『Atomic Heart』は、Mr.Childrenの音楽に新たな風を吹き込むとともに、彼らの成長を示す重要な一枚として今なお支持されています。

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