B-32 (航空機)

B-32 ドミネーター (B-32 Dominator)

B-32ドミネーターは、アメリカ陸軍航空軍が第二次世界大戦中に使用した大型爆撃機である。1940年代に開発され、115機のみが生産されたこの機体は、当初の設計方針を受けて作られたが、その役割や運用が限定される結果となった。特にB-29の成功により、B-32はあまり活躍の場を得ることができなかった。

主な特徴

B-32は、4発のレシプロエンジンを搭載した特徴的な形状の爆撃機で、主にライトR-3350-23エンジンを使用している。胴体は円形であるが、主翼は高アスペクト比のテーパー翼を持ち、高翼配置で設計されている。初期の試作機には双尾翼が採用され、その後、単尾翼への変更が行われた。また、防御に関しては、12.7ｍｍの連装機関銃が5箇所に配置されており、戦闘機に対抗する能力を持っていた。

開発の経緯

1939年11月、第二次世界大戦が始まると、アメリカ陸軍は超長距離爆撃機の必要性を感じ、爆撃機開発計画を開始。このプロジェクトに対して、コンソリデーテッド社が参加し、同社の設計案が採用された。B-32の開発は、他のモデルと同時進行で進められたが、試作機の墜落や部品の不良などが重なり、開発が遅延する結果となった。

初飛行は1942年9月に行われ、その後、量産の発注が進められたが、実際に配備されたのはわずか115機であった。これは、B-29が実戦配備されたためであり、B-32の運用は限られたものとなった。

実戦配備と戦後の運用

1945年、B-32は一部が太平洋戦線に配備され、特にフィリピンでの戦闘試験が行われた。しかし、その後の任務で遭遇した日本の戦闘機との接触によって、B-32は厳しい状況に直面し、多くの乗員が命を落とす結果となった。特に、B-32が撮影偵察任務中に遭遇した日本の攻撃は、戦争における最後の戦死者が出る悲劇をもたらした。

1945年8月、B-32は任務を終え、公式に作戦が終了される。以降は生産も中止され、残存機は廃棄された。

各型

B-32には様々な型が存在しており、例えばXB-32は試作機として製造されたものの、数は限られていた。また、B-32-5CFやTB-32シリーズは、それぞれ特化した機能を持って設計された。これらの機種は、戦局に応じて改良されていったが、量産型の大半はキャンセルとなり、実際の運用にはつながらなかった。

諸元

B-32の基本的な設計は、全長25.32メートル、全幅41.15メートル、全高10.06メートルと大きく、最大6115キロメートルの航続距離を有していた。最大22,000ポンドの爆弾を運搬可能で、乗員は8名だった。

このようにB-32ドミネーターは、歴史的な背景において重要な役割を果たしつつも、その活躍の場は限定されていた爆撃機であった。この機体は戦争がもたらした多くの教訓と複雑な状況を反映している。

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