B-58 (航空機)

B-58 ハスラーについての詳細

概要

B-58ハスラー（Convair B-58 Hustler）は、アメリカ[[空軍]]の為に開発された初の超音速戦略[[爆撃機]]であり、その愛称は「博奕打ち」という意味を持つ「ハスラー」です。この機体は、冷戦下のアメリカの大量報復戦略に基づいて開発され、マッハ2という優れた速度を誇るデルタ翼の形状を持っていました。

高高度からの高速侵入によって敵の防空網を突破し、核攻撃を実施する能力を重視して設計されたB-58は、数々の先進技術を取り入れました。しかし、その開発には高コストが伴い、運用開始からわずか10年で退役を余儀なくされました。アメリカ軍はこの機体を超音速爆撃機の先駆けとして位置づけ、冷戦時代の軍事戦略に少なからぬ影響を与えました。

装備と特性

構造

B-58はデルタ翼の構造を採用しており、特に巡航中のマッハ2に最適化された60度の前縁後退角を持っています。胴体はエリアルールを適用し、主翼との接合部は「コークボトル」形状であるため、爆弾倉は設けず、外装式の爆弾搭載が採用されています。この設計は軽量化に寄与し、高高度・高速での運用を可能としました。

外板には、アルミ合金でサンドイッチしたフェノール樹脂ハニカムを用い、全備重量のわずか14%の構造重量を実現。これにより、B-58は低い翼面荷重を持ち、効率的な巡航性能を得ました。さらに、RCS（レーダー反射断面積）を抑える構造にも配慮がなされていました。

エンジン

B-58は4基のGE J79エンジンを主翼下に搭載し、高度35,000フィート以上でアフターバーナーを2時間連続使用可能な特長を持っていました。これにより、高速飛行を継続する能力があり、戦略[[爆撃機]]としての役割を果たしました。

武装

特筆すべきは、B-58が内部に爆弾倉を持たず、全武装を外装ポッドに格納している点です。この外装ポッドは爆弾と補助燃料タンクの役割を果たし、飛行中に目標へ投下可能。さらに、偵察用機材もこのポッドに搭載できるため、柔軟な運用が可能でした。ただし、この外装ポッドは後に問題を引き起こし、機体の寿命が短縮される要因ともなりました。

装備

B-58は自衛用として、機体尾部に20mmモーターガトリング砲を装備。レーダーによる自動照準が可能でしたが、超音速での運航が主な運用スタイルであったため、自衛機銃の必要性は低かったとされます。
また、脱出装置にはカプセル式が採用されており、以前の射出座席型の問題を改良した形で、乗員の安全を確保していました。

運用

B-58は1960年に部隊配備を開始し、数々の航空記録に挑戦しました。1961年には高速度記録を樹立し、ニューヨークとロサンゼルス間の飛行で地球の自転速度を超えた記録も残しました。しかし、実戦経験がないまま、1970年には全機が退役が決定しました。
その理由としては、運用コストの高さや維持管理の難しさ、さらにはベトナム戦争中の戦略転換が挙げられます。

評価

B-58は実戦での運用経験がないため、成功作とは言い切れない部分があるものの、当時の軍事戦略には大きな影響を与えました。アメリカの超音速爆撃機の存在は、ソ連の防空網整備に影響を及ぼし、間接的に戦略的な効果をもたらしました。
その結果、B-58は冷戦期のアメリカの核戦略において重要な役割を果たしたと評価されています。

スペック

• - 全長: 29.49 m
• - 全幅: 17.32 m
• - 全高: 9.12 m
• - 主翼面積: 143.26 m²
• - 総重量: 73,900 kg
• - エンジン: J79-GE-5B × 4基
• - 推力: 69.4 kN（ドライ）、79.4 kN（A/B）
• - 最大速度: M2.1
• - 実用上昇限度: 18,300 m
• - 航続距離: 3,823 nm（= 7,081 km）
• - 乗員: 3名

B-58ハスラーは、冷戦期の航空機の中でも特異な存在であり、さまざまな記録を残したと同時に、複雑な運用問題を抱えながら、歴史の一端を担った戦略[[爆撃機]]として記憶されています。

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