BA-90

BA-90 写植記号の魅力

BA-90は、日本において漫画や雑誌で用いられる写植記号のひとつで、正式名称は「Full Moon With Face」です。この記号は、愛称として「ぽげムた」や「ニコニコおじさん」とも呼ばれ、特に漫画や出版物で独特の存在感を放っています。

記号の出自と歴史

BA-90は、もともと写植機研究所（現在の写研）が1965年に開発したもので、飾り罫や地紋を表す文字盤の90番目に収録されています。このため、「写植記号BA-90」という名称が付けられました。当時の見本帳にはすでにこの記号が掲載されていたことから、文字盤の発売はこれよりも早い時期に行われたと考えられています。元々は天文学や占星術において満月を示す記号として利用されていましたが、1980年代から1990年代前半にかけて雑誌や漫画のセリフなどでも広く使われるようになりました。

愛称「ぽげムた」の由来

BA-90の愛称「ぽげムた」は、アスキー（現・KADOKAWA）が刊行していたパソコン雑誌『ログイン』で生まれました。当時、読者から寄せられた投稿で使われた「ぽげムたビゲなみょ〜ん!!」という独特な感嘆表現に、この記号が添えられたことで広まりました。ただし、『ログイン』で使用されていた記号には1本の髪の毛が描かれたバリエーションがあったため、「ぽげムた」とBA-90は厳密には別物という意見もあります。

DTPと記号の変遷

その後、写研は電算写植機にもBA-90を「一般記号 SAA1 No.244」として登録しましたが、ディジタル印刷の普及に伴い写植機の使用頻度が徐々に低下しました。今日、通常のフォントからこの記号を入力するのは難しいですが、「イワタアンチック体B」など特定のフォントでは利用可能です。

BA-90の利用例

BA-90は多くの媒体で使用されています。たとえば、『ログイン』の他にも1980年代から『ファンロード』においても登場し、漫画では『らんま1/2|らんま1_2』や『でんぢゃらすじーさん』シリーズ、『おぼっちゃまくん』などに使われました。また、『われらホビーズ ファミコンゼミナール』第38話「ア〇ラ <究極版>!?の巻」での伏字として使われたケースもあります。さらに、歌手のロゴマークにもこの記号が採用されていることがあり、デザインに微妙な違いは存在するものの、BA-90の影響を感じさせます。

まとめ

BA-90は日本の文化やメディアにおいてユニークな存在であり、多くのファンに愛され続けています。その歴史や使われ方から、記号の持つ力の重要性を再認識させられます。このような印刷技術の進化によって生まれた符号は、時代を超えて記憶に残る存在になっています。

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