BB84

BB84プロトコル

BB84は、1984年にチャールズ・ヘンリー・ベネットとジル・ブラッサールによって発表された量子通信を活用した鍵配送のプロトコルです。この名前は、彼らの姓の頭文字と提案年に由来しています。BB84は、初めて具体的に実現された量子暗号プロトコルとして広く知られ、量子力学の原理を基にした安全な通信方法として位置付けられています。

プロトコルの概要

BB84プロトコルは、量子力学の特性を利用して情報の盗聴を防ぐ仕組みを提供しています。特に、このプロトコルの大きな特徴は、1ビットの情報を送信するために一つの光子を使用することが求められる点です。この性質により、不正アクセスを検知することが可能になります。しかし、この方式にはいくつかの技術的な難しさが存在します。初心者の段階では、単一の光子を安定的に生成することが非常に難しいという問題があります。また、通信が行われる経路には損失が存在するため、1光子による通信距離には制約があり、距離を伸ばすことで速度が低下することが懸念されます。さらに、量子的な性質を利用しているため、伝送損失の補強を図るための増幅器を使うことができないという制限もあります。

実証実験の進展

BB84が提案されてからの数年で、さまざまな実験が行われてきました。1988年には、最初の通信実験が実施され、わずか30センチの距離での通信に成功しましたが、その通信速度は3.3bpsと非常に低いものでした。この後、通信距離の拡大に向けた様々な試みが行われ、1995年には、ジュネーブ大学がレマン湖の光ファイバーを利用して23kmの通信に成功し、速度は486bpsに達しました。

2002年には、三菱電機が87kmの距離での通信実験を成功させ、通信速度は7.2bpsでした。次いで、2004年には、さらに進化した通信技術を駆使し、三菱電機などの研究機関がフィールド環境で96km（8.2bps）の通信を実現しました。そして2007年5月には、NTT研究所が200kmの距離を超える通信実験に成功し、通信品質は12bpsとなっています。

BB84はこれらの実験を通じて、量子通信の実現可能性と将来的な応用の道筋を示しました。その後の研究でも、多くの新しい量子暗号プロトコルが提案されており、BB84はその基盤としての役割を果たし続けています。

参考文献

BB84に関する原論文は、次の通りです：
C.H. Bennett, G. Brassard, "Quantum Cryptography: Public Key Distribution and Coin Tossing", Proceedings of IEEE International Conference on Computers Systems and Signal Processing, Bangalore India, pp 175-179, December 1984.

関連項目

• - 量子暗号プロトコル

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