BIOS割り込みルーチン

BIOS割込みルーチンは、コンピュータの基本的な入出力制御を行うBIOS（Basic Input/Output System|Basic Input_Output System）プログラムの一部として組み込まれた、特定の処理を実行するためのソフトウェアです。これは、ハードウェアを直接操作するためのサービスルーチンであり、機械語の割込み命令（INT、TRAP、RSTなど）によって呼び出されます。

主な役割は、コンピュータの起動時にオペレーティングシステム（OS）を初期化し、システムを準備することです。BIOS割込みルーチンは、OSが起動する前の段階で、ハードウェアの基本的な設定やテストを行い、OSがスムーズに動作できるように環境を整えます。これにより、OSはハードウェアの複雑な制御を意識することなく、アプリケーションの実行やユーザーインターフェースの提供に専念できます。

利用方法の例（x86系CPUの場合）

以下に、x86系CPUを搭載したコンピュータにおけるBIOS割込みルーチンの利用例を示します。この例では、ディスクからのデータ読み込みを試みる処理を想定しています。

assembly
READ_ATTEMPT:
PUSH ES ; 必要に応じてレジスタ値を退避
PUSH AX
PUSH BX
PUSH DX
MOV AX,0x07e0 ; パラメータセット（読み込み先アドレス）
MOV ES,AX
MOV AH,2 ; 読み込み機能を示す番号
MOV AL,1 ; 読み込むセクタ数
XOR BX,BX ; ディスクドライブ番号
MOV DL,1 ; ドライブ番号
INT 13H ; プログラムから割り込み発生（呼び出し）
POP DX ; 退避したレジスタ値を復元
POP BX
POP AX
POP ES
JC READ_ERR ; フラグや戻り値を判定・利用（エラーチェック）
READ_OK:
...
READ_ERR:
...


このアセンブリコードでは、`INT 13H`という命令によってBIOS割込みルーチンが呼び出されています。`AH`レジスタに機能番号（ここではディスク読み込み）、その他のレジスタに読み込みに必要なパラメータを設定し、割込みが発生することで、BIOS内のディスク読み込みルーチンが実行されます。実行後、フラグや戻り値を確認して、エラーが発生したかどうかを判断し、後続の処理を行います。

BIOS割込みルーチンの例

BIOS割込みルーチンの割り当てや機能は、コンピュータの機種ごとに異なります。しかし、互換機同士であれば、同じ割り当てや機能が使用されることが一般的です。これは、ソフトウェアの互換性を保つために重要です。例えば、PC/AT互換機では、同じBIOS割込みルーチンを使用することで、異なるメーカーのコンピュータでも同じようにプログラムを実行できます。

割り込み番号と主な機能

• - `INT 10H`：ビデオ出力関連の機能（文字表示、グラフィック描画など）
• - `INT 13H`：ディスク入出力関連の機能（ディスク読み込み、書き込みなど）
• - `INT 16H`：キーボード入力関連の機能（キー押下検出、キーコード取得など）
• - `INT 17H`：プリンタ出力関連の機能（プリンタへのデータ送信など）

これらの割込みルーチンは、OSが起動する前の段階で、基本的な入出力操作を行うために利用されます。OSが起動した後は、OSが提供するAPI（Application Programming Interface）を利用してハードウェアを制御するのが一般的です。しかし、OSが起動する前のブートローダーなどでは、BIOS割込みルーチンが不可欠な役割を担っています。

関連項目

• - 割り込み：CPUが特定のイベントに対応するために、実行中の処理を一時中断して別の処理を実行する仕組み。
• - CPU：コンピュータの中央処理装置。命令を実行し、データ処理を行います。
• - PC/AT：IBMが開発したPC/AT互換機の規格。今日のパソコンの基礎となっています。

外部リンク

• - Intterupts List - Ralf Brown: 詳細なBIOS割り込みリストが掲載されているサイト。各種割り込みとその機能について詳しく知ることができます。

BIOS割込みルーチンは、コンピュータの動作を支える基礎的なソフトウェアであり、その仕組みを理解することは、コンピュータの動作原理を深く理解する上で非常に重要です。

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