BOXER JOE

映画『BOXER JOE』：辰吉丈一郎の苦悩と再生

1995年に公開された映画『BOXER JOE』は、プロボクサー辰吉丈一郎選手に密着したモキュメンタリー作品です。本作は、俳優・赤井英和さんの自伝をモデルにした映画『どついたるねん』で知られる阪本順治監督がメガホンを取りました。

概要

『BOXER JOE』は、ボクサーとしての辰吉選手の苦悩と、そこからの再生をテーマに描かれています。当時、辰吉選手は網膜剥離という怪我を抱え、日本ボクシングコミッションの規定により、国内での試合出場が難しい状況でした。映画では、そのような苦境の中でもがき苦しむ辰吉選手、そして彼を支える家族、友人、ジム関係者など、周囲の人々の姿をドキュメンタリー風のドラマ（モキュメンタリー）として映し出しています。

物語は、1994年に行われた薬師寺保栄選手とのWBC世界バンタム級王座統一戦へと展開していきます。特例として限定復帰が認められた辰吉選手が、この壮絶な試合に挑むまでの過程を、丹念に追っています。

また、本作は若手女優の発掘にも貢献しました。ヒロイン役には、阪本監督と同じ大阪府堺市出身の黒谷友香さんがオーディションで選ばれ、この作品で女優デビューを飾りました。

阪本順治監督と辰吉丈一郎選手の20年

阪本監督は、『BOXER JOE』の制作を通して辰吉選手の人間性に深く惹かれ、彼が現役を引退するまでの記録映画を製作することを決意します。そして、20年に及ぶ長期取材を経て、2015年に『ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年』が完成しました。この作品は、第27回東京国際映画祭パノラマ部門に出品され、2016年には劇場公開も実現しました。

『BOXER JOE』は、単なるボクシング映画にとどまらず、一人の人間が苦難を乗り越え、再生していく姿を描いた感動的な作品です。また、後の記録映画へと繋がる、貴重な映像資料としての価値も持っています。

外部リンク

BOXER JOE - allcinema
BOXER JOE - KINENOTE
BOXER JOE - 日本映画データベース
Boxer Joe - IMDb（英語）

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