BOYS ボーイズ (映画)

オランダ発、感動作『BOYS ボーイズ』：純粋な恋の芽生えと葛藤

2014年、オランダでテレビ映画として制作された『BOYS ボーイズ(原題:Jongens)』は、その後、劇場公開へと至るほどの大きな反響を呼びました。これは、思春期の少年同士の、瑞々しくも切ないラブストーリーを描いた作品です。

オランダ映画祭では、高い評価を受け、オランダ映画批評家賞と最優秀助演男優賞の2冠を獲得。最優秀主演男優賞にもノミネートされるなど、その高い芸術性が認められました。さらに、シアトル国際映画祭をはじめとする数々の国際映画祭で上映され、世界中から称賛を浴びました。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ポーランド、台湾、韓国、そして日本と、世界各国での公開が決定するほどの人気ぶりです。

日本では、2020年1月、ハークが配給会社となり、シネマート心斎橋、シネマート新宿で劇場公開されました。同年8月には、ポニーキャニオンからDVDもリリースされ、より多くの観客が本作に触れる機会を得ました。

物語の中心となるのは、陸上部の強化チームに選ばれたシーヘルです。彼は、チームメイトであるマークと出会います。マークは、自由奔放で明るく、シーヘルとは対照的な性格です。練習後、二人きりになった時、彼らは予期せぬ出来事を経験します。それは、二人の心を繋ぎ、同時に、複雑な感情の渦へと巻き込んでいく転換点となります。

シーヘルは、すでにガールフレンドであるイェシカがいますが、マークへの想いを抑えることができません。友情と愛情の間で揺れ動くシーヘルとは対照的に、マークはシーヘルへの想いをストレートに表現します。しかし、戸惑うシーヘルは、徐々にマークを避け始めるようになります。そして、チャンピオンシップ大会の前日、ついに二人は衝突してしまいます。

初めて経験する、複雑で制御不能な感情。シーヘルは、その感情に翻弄され、苦悩します。15歳の夏の短い期間、少年たちは、人生で初めて経験する、純粋で、激しい恋の喜びと苦しみを味わいます。

キャストには、シーヘル役のヘイス・ブローム、マーク役のコ・サンドフリットなど、才能あふれる若手俳優たちが名を連ねています。彼らの繊細な演技は、登場人物たちの感情を余すことなく表現し、見る者の心を深く揺さぶります。シーヘルの兄であるエディー役のヨナス・スメールデルス、シーヘルとエディーの父であるテオ役のトン・カス、そしてシーヘルのガールフレンド、イェシカ役のロッテ・ラズー・シュルツなど、脇を固める俳優陣も素晴らしい演技を見せています。

『BOYS ボーイズ』は、美しい映像と繊細な演出によって、思春期の少年たちの心の機微を丁寧に描き出しています。彼らの葛藤や成長、そして純粋な恋の物語は、観る者の心に深く響くことでしょう。この作品は、青春時代特有の甘く切ない感情、そして友情と愛情の複雑な関係性を、鮮やかに描き出しています。一度観たら忘れられない、忘れかけていた青春時代の記憶を呼び起こしてくれる、そんな感動的な作品です。

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