BRM・P67

BRM P67：F1挑戦とヒルクライムでの成功

1964年、ブリティッシュ・レーシング・モータース（BRM）は、F1世界選手権参戦を目指し、画期的な四輪駆動フォーミュラ1カー、BRM P67を開発しました。設計は、後にヒルクライムカー開発で名声を築く若きエンジニア、マイク・ピルビームが担当しました。

開発の経緯

BRMがP67開発に着手した背景には、ファーガソン社による四輪駆動技術の存在があります。ファーガソン社は、それまで培ってきた四輪駆動技術を、1966年のF1レギュレーション変更（3リッターエンジン化）を機に、興味を持つF1チームに提供していました。BRMは、この技術に着目し、四輪駆動への挑戦を決意します。

P67の開発においては、既存のBRM製シャシー（P261）、サスペンション（P57）、そして前後反転させた1.5リッターP56エンジンを組み合わせるという手法が採用されました。さらに、ファーガソン社製のトランスミッションが搭載され、独自の四輪駆動システムを構築しています。

F1での苦戦と転身

1964年イギリスグランプリで、リチャード・アトウッドがP67をドライブして参戦しました。しかし、予選は終了したものの、BRMは決勝レースへの参加を撤回し、四輪駆動プロジェクトは一時凍結されました。その後、BRMはH16エンジンの開発に注力するようになります。興味深いことに、このH16エンジンには、後にP67で用いられた四輪駆動システムのセカンドドライブシャフトを通すためのスペースが残されていたそうです。

F1での挑戦は不本意な結果に終わりましたが、P67の開発で得られた技術と経験は無駄にはなりませんでした。成功を収めたファーガソンP99を参考に、P67はヒルクライムカーとして新たな道を歩むこととなります。

ヒルクライムでの成功

1967年には2リッターエンジンに換装され、パワーアップが図られました。また、ファーガソン製トランスミッションのトルク配分調整を行うことで、P67はヒルクライム競技で高い競争力を発揮するようになりました。

その結果、1968年にはピーター・ローソンがP67を駆り、イギリスヒルクライム選手権でタイトルを獲得する快挙を成し遂げました。F1での挑戦は短命に終わりましたが、ヒルクライム競技においてP67は輝かしい成功を収めたのです。BRM P67は、F1における四輪駆動挑戦の失敗とヒルクライムでの成功という、対照的な歴史を持つ、非常に興味深いマシンと言えるでしょう。その挑戦と転身の物語は、モータースポーツ史における貴重な一ページを刻んでいます。

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