BROTHER (映画)

『BROTHER』映画解説

『BROTHER』（ブラザー）は、2000年に制作された日英共同のバイオレンス映画で、著名な監督・北野武が手掛けました。映画プロデューサーのジェレミー・トーマスと森昌行が共同で製作し、第57回ヴェネツィア国際映画祭では特別招待作品としても紹介されるなど、国際的にも高く評価されています。

ストーリー概要

本作は、日本のヤクザである山本が主人公です。彼は、冷徹であり、花岡組内で一目置かれる存在であるが、ある抗争で組長の花岡が殺害され、組織は解散に追い込まれます。自らの居場所を失った山本は、兄弟分である原田に導かれつつ、逃亡先のアメリカに旅立ちます。彼は、米国で行方不明になっていた弟ケンを頼りにし、彼が関わっているドラッグトレードのトラブルに巻き込まれてしまいます。

人種を超えた絆

山本は、ケンの仲間たちであるデニーやメキシカンと手を組み、白人マフィアとの抗争を繰り広げます。出会った頃は敵対しあっていた彼らですが、日本流のスタイルに戸惑いながらも、山本のカリスマ性に引かれ、次第に絆を深めます。山本に憧れ、追ってきた舎弟の加藤も加わり、彼らは異なる文化や言語の壁を越えて絆を深めています。

加藤は、「兄貴」のために命を賭け、地元のボス・白瀬を傘下に納めることに成功します。しかし、白瀬の過激な勢力拡大が逆に大きな悲劇を招くことになります。イタリアン・マフィアとの凄惨な抗争が始まり、状況は悪化の一途を辿ります。

映像美と音楽

本作はロサンゼルスでの撮影が主体であり、その映像美も評価されています。また、音楽は久石譲が担当しており、映画の感情的な側面を際立たせています。特に、エンドロールに流れるメインテーマは、クラブテイストの強いサウンドで、観客の印象に残るものとなっています。

受賞歴と影響

この作品は、第11回東京スポーツ映画大賞にて作品賞を受賞し、北野監督は第38回ゴールデン・アロー賞も受賞しました。また、映画を観たクリント・イーストウッドがその迫力に驚いたという逸話もあります。公開直前にリリースされたZEEBRAの楽曲『Neva Enuff feat. AKTION』も、本作にインスパイアされたものとして挙げられています。

最後に

『BROTHER』は、ヤクザというテーマに新たな視点を提供し、登場人物たちの葛藤や成長、また人間同士の絆を描いた作品です。その洗練された描写と緊張感あふれるストーリーラインは、観る者に強烈な印象を与え続けています。映画界における北野武の独自性が色濃く表現された本作は、バイオレンス映画としてだけでなく、文化や人間関係を考える一つの作品としても楽しむことができるでしょう。

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