BV式ガスガン

BV式ガスガンの全容

BV式ガスガン（ビー・ブイしきガスガン）は、1980年代に設計されたエアソフトガンの一種であり、フルオート機構を特徴としています。この名称は、「Bullet Valve」の略で、弾丸が放出弁の役割を果たすという独特なメカニズムから来ています。この技術は、トイガンデザイナーの青谷三郎によって生み出されました。

発表と普及の歴史

BV式ガスガンの最初の製品は、1984年末に発表され、翌1985年初頭に市場に登場した「JACバトルマスター（BM-I）」です。このガスガンはアサヒファイアーアームズによって開発され、JACというブランドで販売されました。その後、同年8月には改良型である「JACスターリング L2A3（BM-II）」がリリースされ、BV式ガスガンの人気は高まり続けました。

この時代において、ホップアップシステムは存在しなかったため、飛距離を伸ばすためにはパワーを上げる必要がありました。BV式ガスガンは圧力が高まることでパワーも上がる特性があり、これが多くのユーザーの支持を集める要因となりました。この特性により、BV式ガスガンは80年代末期のサバイバルゲームの主力となり、「ハイパワー時代」や「暗黒時代」とも称される時期を迎えました。

3点バーストの導入

アサヒ製のFN FNCでは、初めて3点バースト機能が導入されました。これは、銃身の前後の位置を機械的に計測し、トリガースイッチを切る仕組みで、ガスの消費効率も向上しました。この技術は後にJACのMP5やM16A2でも採用されました。また、アサヒ製のFNCには、実際の銃器には存在しない2点バースト機能が搭載されていました。

1990年代の変遷

1990年代に入ると、東京マルイから電動ガンが発売され、BV式ガスガンはその支持を失っていくことになります。BV式はエアタンクやコンプレッサーといった別の装備の必要があるため、扱いが複雑で、命中精度や燃費の問題が指摘され始めました。バブル崩壊の影響もあり、多くのBV式ガスガンを製造していたメーカーはエアソフト業界から撤退を余儀なくされました。

さらに、ホップアップ機構が普及し、低いパワーでも飛距離を確保できるようになると、9601Jルールが広まってBV式のデメリットが目立つようになりました。結果として、パワーが圧力に依存するBV式ガスガンは、周囲から危険視される場面も増え、2006年に施行された改正銃刀法により、多くのBV式ガスガンは規制されることとなりました。

しかしBV式ガスガンは完全に消滅したわけではなく、シンプルで頑丈な構造や独特の発射音を好む愛好者たちが今でも存在しています。また、2007年4月にはM&G社から、圧力を上げても安全に使用できるBV式ガスガン「M4A1」が発売されました。

基本の構造と機構

BV式ガスガンは、発射に関わるノズルやピストンを持たない独特な構造が特徴です。一般的なエアソフトガンとは異なり、銃身が前後に動く機構やマガジン内部の加圧といった要素がなく、高い消音性能を持っています。以下がBV式ガスガンの主要構成要素です。

- インナーバレル: BB弾を加速させ、中心的役割を果たす。
- リコイルスプリング: 発射後のインナーバレルを戻し、初速を安定させる。
- サブチャンバー: BB弾を給弾する役割を持つ。
- Oリング: BB弾を押し出し、発射をトリガーする。
- バレルウェイト: 銃口を安定させるための重量。
- 放出バルブ: ガスを放出する機構。
- マガジン: BB弾を装填し、エアー給弾式とスプリング給弾式がある。

実際の作動原理

トリガー操作によって放出バルブが開放され、エアーが流入し、BB弾が給弾されます。BB弾はインナーバレルのOリングによって保持され、圧力がかかることで発射準備が整います。インナーバレルはエアーにより前進し、Oリングが押し広げられることでBB弾が発射される仕組みです。この動作を繰り返すことで、射撃が行われます。

問題点と用途

BV式はパワーが高くフルオート射撃を可能とする反面、ガス消費が多く、命中精度が低い特性を持っていました。また、21世紀に入ってからはそのユーザーも減少し、サバイバルゲームの現場での使用は少なくなっています。しかし、BV式はその特異な構造と機能から、かつては軍や警察の訓練用としても利用されていました。

カスタマイズの可能性

BV式はエアソフトガンのカスタマイズが多様で、ハイパワーやサイレントカスタム、ホップアップ機構の追加、多弾数カスタムなどが行われました。特に、装弾数を増やすことが求められる環境では、独特のカスタムが施されることが多く見られました。

BV式ガスガンは、その歴史的背景やテクノロジーにおいて興味深い存在です。現代のエアソフト市場ではないがしろにされがちですが、その独特の魅力を持ち続ける愛好者たちによって、その文化は引き継がれています。

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