Baby ＃1

アルバム『Baby #1』について

『Baby #1』（ベイビー・ナンバーワン）は、日本の音楽界で多大な影響を与えた忌野清志郎のソロ7枚目のスタジオ・アルバムで、2010年3月5日にリリースされました。この日は忌野がレコードデビューを果たした1970年からちょうど40年目にあたり、特別な意味を持つリリースでした。

このアルバムは、過去に録音された未発表の音源をベースに構成されており、その録音は1989年にカリフォルニア州ロサンゼルスで行われました。忌野と小原礼との共同プロデュースによって制作された音源は、後に2010年に東京で追加の録音およびミキシングが施され、ようやく世に出ることとなりました。この1989年の録音に関する情報は、このアルバムが発表されるまでほとんど明らかにされていませんでした。

もともとはこの録音セッションを用いて忌野のソロ2ndアルバムを制作する計画があったものの、当時のマルチトラックデータが行方不明となり、発見されることはありませんでした。生前の忌野もその行方を追っていましたが、残念ながら亡くなるまでその運命を知ることはことはありませんでした。

制作に関わったEMIミュージック・ジャパンの廣瀬哲氏によると、レコーディング直後に忌野が関与していたザ・タイマーズが予想以上に反響を呼び、RCサクセションが活動を休止する状況が続いたため、このアルバムのリリースチャンスを逃したことが、作品の流通が遅れた一因とされています。一方で、この作品に収録されている楽曲は元々世に出すことを目的に制作されており、そのほとんどは1989年前後に実際のコンサートで演奏された記録が存在しています。

収録曲

本アルバムには以下の楽曲が含まれていますが、全ての作詞・作曲は忌野清志郎が手掛けています（特記以外）。

1. I Like You
1990年にRCサクセションのシングル・アルバム『Baby a Go Go』に再録収録。

2. ヒロイン（HEROINE）
同じく1990年のRCサクセションのアルバム『Baby a Go Go』に再録された。

3. 恩赦
小林克也とザ・ナンバーワン・バンドが提供した曲であり、1993年の2・3'sシングル「プライベート」のカップリングとして再録されています。

4. Baby #1
アルバムのために新たに収録された曲で、ハウス食品のカレー関連商品で使用されたコマーシャルソングです。実際にはRCサクセションの未発表作品であり、1989年のコンサートでも演奏されていることが確認されています。特にリード曲であり、ミュージックビデオも制作されましたが、主に当時のライブ映像から流用されています。歌詞は誕生したばかりの息子への愛情が込められており、この録音を記念して、ホーンセクションが新たに加えられ、息子もレコーディングに参加しました。

5. Young Blue
1991年のユニットHISのアルバム『日本の人』に、タイトルと歌詞を改変して収録。

6. NEWSを知りたい
1992年の2・3'sのアルバム『GO GO 2・3's』に再録され、筑紫哲也の『NEWS23』エンディングテーマとしても知られています。

7. KI・ MA・GU・RE
作詞・作曲は忌野清志郎と小原礼で、1989年に沢田研二のアルバム『彼は眠れない』に収録された提供曲で、忌野によるゲストボーカルも含まれています。

8. Like a Dream
1992年の忌野のソロアルバム『HAVE MERCY!』でリテイクされ、2008年のLIVE CD・DVD『忌野清志郎 完全復活祭 日本武道館』にも含まれています。

9. ラッキー・ボーイ
1992年の『Memphis』にリテイクされ収録されています。

10. メルトダウン
1993年の2・3'sのアルバム『Music From POWER HOUSE』にリテイクされています。

参加ミュージシャン

本アルバムには多くの著名アーティストが参加しており、特に以下のメンバーが印象的です。

• - ドラムス: ケニー・アロンオフ
• - ベース・ギター: 小原礼
• - ギター: ティーニー・ホッジス
• - ドブロ: ボブ・ブロスマン
• - アコースティック・ギター: 忌野清志郎
• - キーボード: スミッティ・スミス

最後に

この『Baby #1』は、長い時を経て世に出された忌野清志郎の作品の一つであり、彼の音楽への情熱と、家族への愛情が詰まったアルバムとして、今後とも多くのリスナーに愛され続けることでしょう。

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