Be-8 (航空機)

Be-8 (Бе-8)

Be-8（ベリエフ設計局製 Бе-8、NATOコードネーム：Mole）は、ソビエト連邦において、著名な飛行艇設計局であるベリエフ設計局によって開発された、単発エンジンの多用途水陸両用飛行艇です。これは、先に開発されたBe-4飛行艇の設計思想を発展させつつ、いくつかの重要な改良を加えた機体として位置づけられます。アメリカ合衆国国防総省（DoD）からは「Type 33」というコードネームを与えられています。

設計と特徴

Be-8の基本的な機体構造は、先行機であるBe-4と多くの類似点が見られます。特徴的なのは、機体の上部に支柱を介して取り付けられた主翼と、その主翼の上、後縁付近に配置された単発のエンジンです。この配置は、プロペラが水面から離れることで離着水時の水しぶきの影響を軽減することを意図したものです。

Be-4からの最も顕著な改良点の一つは、引き込み式の車輪が装備されたことでしょう。これにより、Be-8は水上だけでなく、通常の陸上飛行場からの離着陸も可能となり、真に多用途な水陸両用機としての運用能力を獲得しました。この機能は、地上での移動や整備においても大きな利便性をもたらします。また、搭乗員の快適性向上にも配慮されており、キャビン内にはエンジンの廃熱を利用したヒーターが設置されました。寒冷な気候下での運用を考慮した措置と考えられます。

本機は民間機として設計されたため、一切の武装は施されていません。旅客輸送、連絡、軽貨物輸送など、様々な非軍事用途での活用が想定されていたと推測されます。

開発と展示

Be-8の最初の飛行は1947年12月3日に行われました。開発は順調に進みましたが、最終的にBe-8は量産体制に入ることなく、試作機のみの製造に終わりました。量産化に至らなかった詳細な理由は明らかではありませんが、当時のソビエトにおける航空機の開発計画や優先順位、あるいは機体固有の課題などが影響した可能性が考えられます。

しかし、その存在は広く知られることとなりました。1951年にモスクワ近郊のツシノ飛行場で開催されたソビエト航空ショーにおいて、2機の試作機が一般に披露されました。この航空ショーは、ソビエト航空技術の成果を内外に示す重要な機会であり、Be-8の展示は当時のソビエトが水陸両用機の分野にも関心を寄せていたことを示唆しています。展示された試作機は、その独特な形状と水陸両用能力で観衆の注目を集めたことでしょう。

量産こそされなかったものの、Be-8はベリエフ設計局による水陸両用機開発の過程における重要な一歩であり、後のベリエフ製飛行艇にも影響を与えた可能性があります。その設計思想や技術的特徴は、当時のソビエトの航空技術の一端を示す事例として、現在も評価されています。

主要諸元

これらの性能は、当時の単発レシプロエンジンの水陸両用機としては標準的なものと言えるでしょう。特に、民間用途を考慮した航続距離や乗員数は、連絡機や軽輸送機としての潜在能力を示しています。

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