Bernoulliディスク

ベルヌーイディスクとは

ベルヌーイディスクは、1983年にアメリカのアイオメガ社によって開発されたリムーバブルメディアです。正式名称は「ベルヌーイボックスシステム」といいます。当時、フロッピーディスクに代わる大容量ストレージとして注目されました。

ベルヌーイディスクの構造と原理

従来のハードディスクドライブでは、硬いディスクを高速回転させることでヘッドを浮上させてデータの読み書きを行います。一方、ベルヌーイディスクは、柔軟な素材でできたディスクを高速回転させ、その際に生じるベルヌーイ効果を利用している点が特徴です。

ディスクを高速回転させると、ベルヌーイの法則によってヘッドとディスクの間に陰圧が生じます。柔軟なディスクはこの陰圧によって固定されたヘッド側に湾曲し、ヘッドとディスク間の距離を一定に保ちます。この原理が、ベルヌーイディスクの名前の由来となっています。

ディスクの湾曲によってヘッドとディスクの距離を近づけているため、ディスクの回転が遅くなると陰圧が低下し、自然にヘッドとディスクは離れます。そのため、従来のハードディスクで必要だったリトラクト（ヘッドを安全な位置に退避させる動作）が不要となり、理論上はクラッシュが起こらないとされていました。

ベルヌーイディスクの特徴と課題

ベルヌーイディスクの最大のメリットは、ヘッドクラッシュのリスクを低減できる点でした。ディスク回転中にヘッドが接触する危険性が少ないため、データの安全性が高いと期待されました。しかし、実際にはクラッシュが発生する例も少なからず存在し、必ずしも「クラッシュしない」とは言い切れないという現実もありました。

また、ベルヌーイディスクは、当時の他のリムーバブルメディアと比較して容量が大きく、高速なデータ転送が可能でした。しかし、その一方で、構造が複雑で製造コストが高く、価格も高価になるというデメリットもありました。

ベルヌーイディスクのその後

ベルヌーイディスクは、そのユニークな技術から一定の支持を得ましたが、より低コストで高性能な他のリムーバブルメディアが登場したことで、次第に市場から姿を消していきました。しかし、その技術は後のストレージ技術に影響を与え、リムーバブルメディアの歴史において重要な役割を果たしました。

関連項目

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