Billboard Global 200

Billboard Global 200：世界を席巻する音楽チャート

Billboard Global 200は、アメリカの音楽専門誌『ビルボード』が発表する世界規模の音楽チャートです。200以上の国と地域からのデジタルダウンロードとストリーミングデータを基に、世界で最も人気のある楽曲トップ200をランキングしています。2020年9月に正式スタートしたこのチャートは、世界中の音楽ファンの関心を集め、グローバルな音楽シーンを反映する指標となっています。

チャート誕生の背景

『ビルボード』誌は、Global 200の開始以前から、グローバルな音楽チャート作成構想を2年以上かけて練り上げてきました。当初は「Global 100」として構想され、2019年5月にはその試行版が発表されています。チャート作成の目的は、世界中の音楽ファンに様々な地域の楽曲をタイムリーに紹介すること、そして国際市場で活躍するアーティストに正当な評価を与える機会を提供することです。正式発表の際には、『ビルボード』誌はGlobal 200を「世界トップソングをランク付けする初の信頼できるチャート」と位置づけました。全世界のストリーミングとダウンロード販売データに基づいて作成されることで、地球上で最も人気のある楽曲を正確に反映できると謳われています。

集計方法：ストリーミングとダウンロードの重み付け

Global 200のランキングは、200以上の地域から収集された膨大なセールスとストリーミングデータに基づいて算出されます。音声・ビデオ音楽サービスを含む主要デジタルプラットフォームにおける、有料・無料両方のストリーミングデータと、主要音楽小売業者からのダウンロード販売データが加重平均されます。ただし、直販サイトからの売上は除外されます。ストリーミングデータでは、有料サブスクリプションの方が無料サブスクリプションよりも大きなウェイトが与えられています。

偽のストリーミング問題への対策として、『ビルボード』誌はデータ提供業者と緊密に連携し、不正ストリーミングの影響を最小限に抑えるための監査ガイドラインを導入しています。データ提供業者自身も、不正行為を検知するための独自対策を講じており、チャートの信頼性を高める努力が続けられています。

特筆すべきは、米国のBillboard Hot 100とは異なり、Global 200には「リカレントルール」が存在しない点です。Hot 100では、一定期間経過後に順位が低下した楽曲は除外されますが、Global 200では、過去の楽曲でもランキング入りする可能性があります。また、ラジオエアプレイは集計に含まれていません。これは、多くの地域でラジオエアプレイのデータが信頼できる形で算出されていないという事情によるものです。この点は、ストリーミングとダウンロード販売のみを基にランキングを算出する『ローリングストーン』誌のTop 100と類似しています。

Global 200の集計方法は、世界市場を反映した独自の方式が用いられており、1回の楽曲ダウンロードは有料ストリーミング200回、無料ストリーミング900回に相当すると換算されます。有料と無料ストリーミングの比率は4.5:1となっています。集計期間は金曜日から木曜日までで、毎週火曜日にBillboard.comで発表されます。

Billboard Global Excl. U.S.

Billboard Global Excl. U.S.は、Global 200から米国のデータを除外したチャートで、Global 200と同時に発表されます。このチャートを作成する目的は、様々な地域の音楽を世界中の音楽ファンに紹介することです。米国の音楽市場の影響を排除することで、より多様な音楽のランキングが得られます。

日本人アーティストの活躍

Global 200とGlobal Excl. U.S.には、初登場から数多くの日本人アーティストがランクインしています。YOASOBIや米津玄師などの楽曲が上位にランクインし、日本の音楽シーンの世界的な人気を示しています。特に、YOASOBIの「アイドル」はGlobal Excl. U.S.で日本語楽曲として初めて1位を獲得するという快挙を成し遂げました。

まとめ

Billboard Global 200は、世界規模の音楽市場を反映した信頼性の高いグローバルチャートです。その独自の集計方法と、米国データを除外したチャートとの併用は、世界中の多様な音楽シーンを網羅し、音楽ファンの幅広いニーズに応えています。今後も、このチャートはグローバルな音楽トレンドを牽引していくでしょう。

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