Blackle

Blackleは、Googleのプログラム可能な検索エンジンをベースにした検索エンジンで、オーストラリアのヒープ・メディアに所属するトビー・ヒープによって設立されました。この検索エンジンの最大の特徴は、検索結果を黒い背景に灰色のテキストで表示することにあります。これは、ディスプレイが暗い色を表示する際に消費するエネルギーが少ないという原理に基づいています。

Blackleの主な目的は、この色の組み合わせを利用してエネルギー消費を削減することです。2021年1月時点での主張では、Blackleは既に8,500kWh以上の電力を節約したとされています。この数値を一般的なアメリカの家庭の年間電力消費量と比較すると、その節約効果の大きさが理解できます。アメリカの平均的な家庭では、年間約11,000kWhの電力を消費するため、Blackleの節約量はかなりの規模であると言えるでしょう。

Blackleのコンセプトは、コンピュータディスプレイのエネルギー消費に関する研究から生まれました。特に、ブラウン管（CRT）モニターと薄膜トランジスタ液晶（TFT LCD）ディスプレイを対象とした調査によって、ディスプレイが暗い色を表示する際の消費電力の低減が確認されています。しかし、TFT LCDディスプレイに関しては、バックライトの存在がエネルギー消費の大部分を占めるため、省エネルギー効果については議論の余地があります。この問題は、特にTFT LCDディスプレイのユーザーの間で論争を引き起こしました。

このコンセプトは、もともとブログ記事を通じてヒープの目に留まりました。その記事では、Googleの検索エンジンをブラウン管モニターで使用した場合、年間750,000kWhの節約が可能であると試算されていました。このブログ記事が、Blackle開発の直接的なきっかけになったと言えるでしょう。Blackleのウェブサイトには、節約されたと主張されるワット時の値が常に表示されており、その効果を視覚的に訴求しています。

Blackleは2007年1月に公開されました。その後、Blackle Internationalというプロジェクトを通じて、ポルトガル語、フランス語、チェコ語、イタリア語、オランダ語など、多言語に対応したバージョンも展開されました。しかし、Blackle Internationalは2019年に廃止され、現在ではページ自体は残っているものの、すべてのリンクが機能しなくなっています。2021年現在、Blackleは英語のみで利用可能な状態です。

Blackleのコンセプトは、ダークモードの概念と共通する部分があります。また、ワット当たりのパフォーマンスという観点から、エネルギー効率を追求する試みとも捉えることができます。Blackleは、エネルギー消費を意識した検索エンジンとして、その特異性から多くの人々の関心を集めてきました。

参考資料
ダークモード
ワット当たりパフォーマンス

外部リンク
* 公式サイト

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