Bobcat (マイクロアーキテクチャ)

ボブキャット（Bobcat）：AMDの省電力CPUアーキテクチャ

ボブキャットは、アメリカの半導体企業AMDが開発したCPUコアのアーキテクチャで、2011年初頭に市場に登場しました。このアーキテクチャは、同時期に発表されたこちらもAMD製の「Bulldozer」と並行して開発されており、約4年間にわたって使用されました。これにより、従来のK10コアからの移行を図ったのです。

初期の製品展開

ボブキャットは、AMDが「Fusion APU」と呼ぶ、GPUとCPUを統合した新型製品群に搭載されました。最初に出荷されたAPUは、TDP（熱設計電力）が18ワットの「Zacate」、9ワットの「Ontario」、そして5.9ワットの「Desna」の3つであり、これらは「Brazos」というプラットフォーム名で知られています。また、これらのAPUは、コードネーム「Hudson M1」のFusion Controller Hub（FCH）と組み合わされて利用されました。

2012年には、これらのAPUの後継モデルが発表され、より省電力化が進んだ「Brazos 2.0」が登場しました。このプラットフォームには、TDP9-18Wの新しいAPUとFCH「Hudson-M3L」が採用されています。また、タブレットをターゲットとした「Brazos-T」および、Desnaの後継となるTDP4.5ワットのAPU「Hondo」も展開されました。

ボブキャットの設計と特徴

ボブキャットは、AMD64アーキテクチャに基づく64ビットCPUコアで、TDPは18ワット以下に設計されています。その内部構造は、フル・アウト・オブ・オーダー実行が可能であり、同時に2つの命令を発行できるパイプラインを持っています。具体的には、整数演算用のパイプが2本、ロード/ストア用が各1本、浮動小数点演算用が2本といった構成です。

さらに、ボブキャットは省電力技術であるクロックゲーティングとパワーゲーティングを採用しており、効率的に電力を利用します。各コアには、32 KiBのL1キャッシュ（命令およびデータ各32 KiB）、512 KiBのL2キャッシュが搭載され、パリティエラー検出機能も備えています。

サポートされる拡張命令セットには、MMX、SSE系およびAMD-Vが含まれており、これによりさまざまなアプリケーション向けに高い互換性を持ちます。

ボブキャットを採用したプロセッサー

ボブキャットアーキテクチャは、さまざまなプロセッサーに用いられています。Brazosプラットフォームでは、モバイル・デスクトップ向けにZacateおよびOntario、そしてタブレット向けにはDesnaが採用されています。続くBrazos 2.0プラットフォームには、Brazos 2.0向けAPUとBrazos-T向けのHondoが含まれています。

ボブキャットは、AMDの技術革新の一環として、省電力性を重視したモバイルデバイス向けの強力な選択肢となりました。その後の展開においても、パフォーマンスと省電力性の両立を求めるニーズに応え続けています。

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