CIAM

近代建築国際会議（CIAM）：モダニズム建築を牽引した国際的な議論の場

近代建築国際会議（Congrès Internationaux d'Architecture Moderne, CIAM）は、20世紀の建築界において、モダニズム建築の展開に決定的な役割を果たした国際会議です。1928年から1959年にかけて、ヨーロッパを中心に世界各地で11回開催され、建築家、都市計画家、デザイナーなど、多様な専門家が都市や建築の未来について議論を重ねました。

CIAMの目的は、モダニズム建築の原則を世界に広めることにありました。建築におけるあらゆる主要領域、例えばランドスケープデザイン、都市計画、工業デザインなどを包括的に対象とし、それらの分野におけるモダニズムの理念を推進しました。会議では、参加者たちがそれぞれの専門知識や経験を共有し、活発な議論を通して、近代建築の理論と実践の両面を深めていきました。

CIAMの創設と主要メンバー

1928年6月、スイスのラ・サラで開催された第1回会議でCIAMは設立されました。創設メンバーには、ル・コルビュジエ、シークフリード・ギーディオン、カール・モーザーといった、後にモダニズム建築の巨匠と呼ばれることになる建築家たちが名を連ねています。その他にも、ヨーロッパ各地から多くの著名な建築家や都市計画家が参加し、CIAMは国際的な規模を持つ会議へと発展していきました。初期のCIAMには、ソビエト連邦からの参加も予定されていましたが、ビザ取得の問題により実現しませんでした。

CIAMの設立は、1927年の国際連盟本部設計コンペでの出来事がきっかけでした。このコンペで、ル・コルビュジエの近代的なデザイン案が、伝統的な建築様式を支持する保守派によって排除されたのです。この出来事は、近代建築運動と保守派との対立を鮮明に浮き彫りにし、CIAMの設立を加速させることになりました。

CIAMの活動と影響

CIAMでは、都市計画、住宅問題、建築技術など、多岐にわたるテーマが議論されました。特に、都市の機能性と効率性を高めるための新しい都市計画論や、近代的な生活様式に適応した住宅設計の在り方などが盛んに議論されました。これらの議論は、後のモダニズム建築や都市計画に大きな影響を与え、近代都市の形成に貢献しました。

CIAMの活動は、単なる会議にとどまりませんでした。参加者たちは、それぞれの国や地域でCIAMの理念に基づいた建築プロジェクトを推進し、モダニズム建築の普及に貢献しました。また、CIAMは、国際的な建築家ネットワークの形成にも貢献し、モダニズム建築の国際的な展開を加速させました。

CIAMに関する参考文献

CIAMの活動や影響については、多くの研究書が出版されています。例えば、エリック・マンフォードの『アーバニズムに関するCIAM談話– 1928–1960』や、シークフリード・ギーディオンの『空間、時間、建築-新しい伝統の成長』などは、CIAMの活動を詳細に解説した貴重な文献です。これらの文献は、CIAMの歴史やその建築思想を理解する上で不可欠です。

CIAMの遺産

CIAMは、1959年の第11回会議をもって解散しましたが、その活動は、現代建築や都市計画に多大な影響を与え続けています。CIAMの理念は、機能性、効率性、普遍性などを重視した近代建築の基礎を築き、現代建築のデザインや都市計画に大きな影響を与えました。CIAMの活動を通して生み出された建築や都市計画は、現在でも世界中で見ることができます。

CIAMは、建築家たちの国際的な議論の場として、モダニズム建築の展開に大きく貢献しました。その活動は、現代建築や都市計画に今もなお影響を与え続けており、20世紀建築史において重要な位置を占める会議と言えます。

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