CINEMAだいすき!

CINEMAだいすき!：深夜の映画体験を彩る名番組

『CINEMAだいすき!』は、読売テレビ（ytv）で長年にわたって放送された、深夜の映画番組です。1984年の初回放送から、およそ4～5回／年のペースで集中放送を実施。毎回、時代やジャンルを問わず、厳選された映画作品の数々が、午前2時以降の深夜時間帯にノーカットで届けられました。単なる映画上映にとどまらず、番組独自の選球眼と、作品の魅力を伝える工夫が凝らされた演出が、多くの映画ファンを魅了する要因でした。

番組の魅力は、その選定テーマの多様性にあります。例えば、『'60～'70アメリカ映画選』では、1960年代から70年代にかけて制作されたアメリカ映画を特集。時代の空気感を反映した作品群は、当時の社会状況や文化、そして映画制作技術の進化を垣間見せてくれます。『SF再考』や『ミュージカル特集』など、特定のジャンルに焦点を当てた回もあった一方、『私の好きな女優』といったテーマでは、著名な女優が出演した作品をピックアップすることで、彼女たちのキャリアや魅力を改めて再確認できる構成となっています。

特筆すべきは、2004年度に放送開始20周年を迎えた際に実施された企画です。日本映画界を代表する人気監督である竹中直人氏、井筒和幸氏、君塚良一氏を招き、各監督がセレクトした日本映画作品を放送。監督自身の視点を通して、作品の魅力や制作秘話などが紹介され、視聴者にとってより深く映画を理解する機会となりました。これにより、単なる映画の上映にとどまらない、映画に対する考察を促す、知的でエンターテイメント性豊かな番組へと進化を遂げています。

『CINEMAだいすき!』は、単なる映画の放送にとどまりませんでした。番組では、放送作品に関連した会報誌を発行。希望者には抽選でプレゼントされるなど、視聴者参加型の企画も展開。視聴者と密着した番組作りで、より深い番組への愛着を育む工夫が見られました。

番組の歴史においては、2007年度のみ放送休止という時期もありましたが、2008年には初めて年始に放送を実施。相米慎二監督作品集を7夜連続で放送するなど、番組の規模を拡大する試みもみられました。 また、『CINEMAだいすき!』関連番組として、『シネマチューズデー』→『映画傑作選』（水曜深夜）や『水曜亜細亜電影』、『アニメだいすき!』（OVA作品特集）など、多様な企画も展開。映画やアニメーション作品への幅広いアプローチを見せています。

番組は、数々の名作や話題作を届けるだけでなく、時代背景や映画史、そして映画制作の裏側まで深く掘り下げることで、視聴者にとって映画鑑賞の幅を広げる役割を果たしました。放送ラインナップは多岐にわたり、アメリカ映画、SF映画、ミュージカル、コメディ、そして日本映画やアジア映画まで幅広く網羅。著名な監督の作品から、隠れた名作まで、実に多彩な作品が紹介されました。これらの作品は、時代を超えて愛され続ける映画史における重要な一端を担っており、番組を通じて再発見された作品も多いことでしょう。

残念ながら、番組はすでに終了していますが、『CINEMAだいすき!』は、日本の深夜番組の歴史において、映画文化に貢献した貴重な番組として記憶されています。深夜の時間帯に、良質な映画をじっくりと鑑賞できる場を提供し続けた功績は、高く評価されるに値します。 多くの映画ファンにとって、忘れ難い記憶として、今も語り継がれる番組であると言えるでしょう。

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