CiRCUS

CiRCUS（サーカス）とは

CiRCUS（treasure Casket of i-mode service, high Reliability platform for CUStomer）は、NTTドコモが運用するメール送受信システムとiモードゲートウェイシステムの中核を担うプラットフォームです。ドコモ川崎オフィス内に設置された広大な敷地に、約600台もの日本電気（NEC）製NX7000 HP-UXサーバが稼働しています。その堅牢性と高負荷への耐性は、日経コンピュータ誌でも高く評価されています。

システム概要

CiRCUSは、Webサイト参照で毎秒5万件、メール送受信で毎秒2万5千件という圧倒的な処理能力を誇ります。システムの信頼性を確保するため、国内にはメインセンターとバックアップセンターが設けられ、すべての構成要素が冗長化されています。この徹底した冗長化により、驚異的な稼働率99.99998パーセントを実現し、ユーザー1人当たりの年間停止時間はわずか6.93秒という非常に高い可用性を維持しています。

都内には、24時間365日体制で運用を監視するオペレーションセンター「CARNiVAL（カーニバル）」があり、システムの安定稼働を支えています。システムは、NECとヒューレット・パッカードが協業し、NEC/NTTデータがイコールパートナーとして統合され構築されました。中心となるのは、600台のHP-UXサーバとEMCのストレージシステムです。

また、2006年3月には、2006年1月1日時点のiモード加入者数4568万人が世界最大規模のワイヤレスプロバイダとしてギネスブックに認定され、CiRCUSがその基盤を支えていることの証左となりました。

導入の経緯

ドコモは、かつて通商産業省のΣプロジェクト制定に関わったNTTとNTTデータの関係から、当初はサン・マイクロシステムズのSolarisなどのUNIX SVR4を優先的に採用していました。1999年2月に運用を開始した第1世代ゲートウェイ「GRIMM（グリム）」は、開始直後から通信障害が頻発し、2000年3月には全国規模で接続不能となる大規模障害を引き起こしました。この障害により、600万台の端末に影響が及び、以降も不安定な状態が続いたため、新聞各紙の一面を飾る事態となり、国会でも問題視されました。

GRIMMの度重なる障害と改善の見られない運用状況に危機感を抱いたドコモは、数十億円を投じたGRIMMシステムの破棄を決定し、新たなシステムの導入を決定しました。機能性を重視した入札の結果、NECとNTTデータによるHPサーバをベースとした次世代ゲートウェイシステム「CiRCUS」の構築が決まりました。システム検討から構築までの期間はわずか1年間という短期間でしたが、無事に運用を開始することができました。

実際の基盤設計や要件定義以降は、NEC府中事業所にあるUNIX、特にHP-UXに精通した技術者が中心となり、MC/ServiceGuard|MC_ServiceGuardやLVMなどの高負荷に対応したパッケージを担当する主任技術者たちが尽力しました。

GRIMMとCiRCUSの大きな違いは、サンとHPのサーバに対する基本設計、そしてNECと伊藤忠テクノサイエンスという異なるSIerのシステム構築・運用に関する経験値にありました。

海外展開

ドコモはCiRCUSの汎用性を高め、iモードシステムを海外展開するために、複数の海外携帯キャリアへ投資を行いましたが、3Gインフラの高コストなどの理由から普及は進みませんでした。その後、iモードとCiRCUSシステムの廉価版を無償で提供する方針に転換し、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、スペイン、台湾、イタリア、ギリシャ、オーストラリア、イスラエル、イギリス、シンガポールなど、26の国で採用されています。

外部リンク

• - NTTドコモによるCiRCUSの紹介(PDF)
• - NTTデータによるニュースリリース

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