CLIE

CLIE（クリエ）: ソニーのエンターテインメントPDAの歴史

CLIE（クリエ）は、ソニーが開発・製造したPalm OSを搭載したPDAです。この名称は、「Communication Linkage for Information & Entertainment」という言葉の略称から生まれました。一般的なPDAがビジネス用途に重きを置いているのに対し、CLIEはエンターテインメントを重視した端末として位置付けられました。

特徴と設計

CLIEは、特にエンターテインメント向けの機能を強化したことにより、従来のPDAとは異なるアプローチを取りました。高解像度のカラー液晶やデジタルカメラを搭載するなど、当時のPDA市場での競争が激化する中で、早期にこれらの機能を実現しました。特に、320×320ドットのハイレゾリューション液晶を採用し、他のPalmデバイスとの差別化を図りました。

ソニーはまた、外部メモリとしてメモリースティックを採用し、自社の他の製品との連携を強調しました。しかし、独自の仕様変更により、一部のユーザーはMacとの同期に問題を抱えることもありました。さらに、ノブやボタンの配置も工夫され、使いやすさを追求した結果、多くのユーザーに支持される一因となりました。

機種と展開

CLIEには多くのモデルが存在し、それぞれが異なる機能を持ち合わせています。例えば、初代モデルであるPEG-S300とPEG-S500Cは、Palm OS 3.5を搭載し、ジョグダイヤルとメモリースティックスロットを追加することで、使い勝手を向上させました。続いて発売されたPEG-N700Cでは、音楽再生機能やハイレゾ液晶が搭載され、ユーザーから高い評価を得ました。多くのモデルが音楽や動画の再生機能に特化しており、特にPEG-VZ90は動画や写真の閲覧に特化したモデルとして最終製品となりました。

市場からの撤退

しかし、PDA全体がスマートフォンへと進化する中で、CLIEの高機能化路線は徐々に市場から受け入れられなくなりました。2004年6月には海外市場での新機種投入を終了し、その後も日本国内でのモデル展開も行われましたが、最終的には全ての機種の生産を終了することとなりました。これにより、CLIEは日本のPDA市場から完全に撤退する結果となりました。

最後に

CLIEシリーズは、ソニーが提案した新しいスタイルのPDAとして、特にエンターテインメント機能に特化して人気を博しましたが、市場の流れには逆らえず、歴史の幕を閉じました。その結果、CLIEはソニーの携帯端末事業における一時代の象徴として、多くのユーザーの記憶に残ることとなったのです。これらのモデルは今でも多くの人々に愛され、その革新的なアプローチは後のデバイス開発に影響を与えました。

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