CLOSE TO ME

『CLOSE TO ME』

『CLOSE TO ME』（クローズ・トゥ・ミー）は、シンガーソングライターKANが2001年1月24日にBMG JAPAN/RCAよりリリースした、通算28枚目にあたるシングル作品です。本作は、菓子メーカーであるロッテの「グリーンガム」テレビCMソングとして使用され、2000年初頭から広く親しまれました。また、KANにとってBMGへの移籍後、第一弾となるシングルとしても位置づけられています。

制作背景

本楽曲の制作は、いくつかの特別な背景を持っています。当時、KANの楽曲制作において長年共同で編曲を手がけていた小林信吾氏とのスケジュール調整が難航し、この『CLOSE TO ME』を含むアルバム『Gleam & Squeeze』の制作期間中、KAN自身が単独で全曲の編曲を担当することになりました。これは、これまでの制作体制からの大きな変更点と言えます。

また、シングルのリリースに関しても紆余曲折がありました。楽曲自体は2000年初頭にCMソングとしてオンエアが開始されていましたが、当初予定されていたシングルの発売日は2000年7月でした。しかし、制作の進行状況やその他の要因が重なり、この発売日は幾度となく延期されました。最終的に2001年1月24日に発売が決定しましたが、この過程で、一度告知されていた製品品番が変更されるという珍しい事態も発生しています。楽曲は当初サビ部分のみが先行して制作されていたとされており、こうした背景も発売延期の一因となった可能性が考えられます。

楽曲の特徴

『CLOSE TO ME』の音楽性は、KANが公言してやまないザ・ビートルズ、特に彼らの後期の作品群から強い影響を受けていることが感じられます。メロディラインの構築や、楽曲全体を彩るストリングス編曲には、後期ビートルズ作品に通じる、豊かな音楽的色彩と構成力が表れています。繊細かつドラマティックなストリングスアレンジは、楽曲の持つ温かさと同時に、どこか切なさを帯びた雰囲気を高めています。

KANは自身のライブにおいても、こうした音楽的な繋がりを示すことがあります。2001年秋に開催されたコンサートツアー「Rock' n Roll 39」では、『CLOSE TO ME』と同じく後期ビートルズの音楽性に影響を受けて制作されたと言われる楽曲「まゆみ」と続けて演奏されました。これにより、両曲に流れる共通の音楽的エッセンスや、KANのビートルズへの深い敬意がより明確に表現されました。

収録曲

このシングルには、表題曲『CLOSE TO ME』を含む以下の4トラックが収録されています。全曲の作詞、作曲、および編曲はKAN自身が手がけています。

1. CLOSE TO ME
表題曲。ロッテ「グリーンガム」CMソング。
2. 小羊
カップリング曲。
3. ロック試練の恋 （Live）
ライブ音源。演奏はヤン嶋田とニュー・ブリーフが担当しています。
4. CLOSE TO ME （Instrumental）
表題曲のインストゥルメンタルバージョン。

BMG移籍第一弾、単独編曲、そして敬愛するアーティストへのオマージュが込められた『CLOSE TO ME』は、CMソングとしての認知度だけでなく、2000年代初頭におけるKANの音楽的探求の一端を示す作品として、ファンにとって重要な位置を占めています。

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