COBRA

COBRA（コブラ）について

COBRAは、1984年に音楽家のジョン・ゾーンによって創案された、即興演奏の新しいスタイルです。このスタイルは、ゲーム的な要素を取り入れたユニークなアプローチを特徴としており、演奏者が即興で音楽を作り上げる過程が体験できます。ゾーンは、1985年から1986年にかけて録音されたアルバム『コブラ』を発表し、このスタイルを広めました。日本においては、ヒカシューの巻上公一がCOBRAの手法を特に重視し、取り入れています。

演奏スタイルとルール

COBRAの演奏は、グループで編成されたプレイヤーたちが、プロンプターと呼ばれる指揮者の指示に従って行います。このプロセスは、サバイバルゲームの要素が強く反映されています。約10名の演奏者はプロンプターを中心に半円形に配置され、プロンプターは19枚の特別なカードと、それに対応した手のサインを用いて音楽を紡ぎ出します。

楽器の構成はその場の状況に応じて異なり、一人が複数の楽器を持つこともあります。また、演奏者の中には楽器を持たず、声だけで参加するプレイヤーも存在します。このように多様な楽器の演奏者が集まり、即興的な音楽の創造が行われるのがCOBRAの魅力の一つです。

なお、19枚のカードやハンドサインの詳細については、演奏に関わる者たちに厳しい守秘義務が課されており、演奏者やプロンプターはそれらの情報を外部に漏らすことを禁じられています。このため、COBRAの具体的な演奏方法やルールの詳細は多くの人の目に触れないままです。

アルバムと録音

COBRAの音楽スタイルは、いくつかの録音作品を通じて広がっています。特に重要なアルバムは以下の通りです。

- 『コブラ』 - Cobra (1987年)

このアルバムは2枚組で、ニューヨーク・ラジオ・シティ・スタジオで1986年に行われたスタジオ録音と、1985年のニューヨークでのライブ録音が収められています。いずれの演奏でも、ジョン・ゾーンがプロンプターとして指揮しています。

- John Zorn's Cobra: Live at the Knitting Factory (1992年)

こちらは、ジョン・ゾーンの指揮のもと、Knitting Factoryでのライブパフォーマンスを収録した作品です。

- 『ジョン・ゾーンズ・コブラ東京作戦吉凶部隊』 - John Zorn's Cobra: Tokyo Operations '94 (1994年)

このアルバムでは、巻上公一がプロンプターとして東京での演奏を指揮しました。

- 『コブラ』 - Cobra: John Zorn's Game Pieces Volume 2 (2002年)

ここでも、ジョン・ゾーンがプロンプターとして登場し、他のゲーム作品に触発された音楽を展開しています。

COBRAは、即興演奏におけるルールや形を超えた新たな表現の場を提供し、演奏者と聴衆双方にとって刺激的な体験をもたらします。その革新的なスタイルは、今後も多くの音楽家に影響を与えることでしょう。

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