CPR番号

デンマークのCPR番号（Det Centrale Personregister、Central Persons Registration）は、国民一人ひとりに割り当てられる10桁の識別番号で、個人番号またはCPRナンバーとも呼ばれます。デンマークに居住する全ての人々、国民はもちろんのこと、3ヶ月以上滞在する外国企業の駐在員や移民にも発行され、行政サービスから民間サービスまで、日常生活のあらゆる場面で個人認証に用いられています。

CPR番号の歴史

CPR番号は、1968年に税務処理の効率化を目的として導入されました。当時、個人情報に対する国民の意識が低かったため、大きな反発もなくスムーズに受け入れられました。当初は公的機関のみでの利用が想定されていましたが、個人を特定できる一意の番号であることから、次第に個人証明としても利用されるようになりました。

1970年には中央納税管理システムが導入され、納税記録とCPR番号が紐付けられました。1977年には個人医療記録システムが導入され、個人の医療情報もCPR番号で管理されるようになりました。この医療記録システムは当初は紙ベースでしたが、後に電子化され、ポータルサイト「Borger.dk」を通じて、最大1977年まで遡って個人の医療情報をオンラインで閲覧できるようになっています。さらに、2014年9月1日からは、トランスジェンダーの人々が性自認に合わせてCPR番号の最後の数字を変更できるようになりました。

CPR番号の形式

CPR番号は10桁の数字で構成されており、以下の形式で表されます。

`ddMMyy-abbb`

dd: 誕生日
MM: 誕生月
yy: 誕生年の西暦下2桁
a: 誕生年の補助識別子。例えば、`yya`が「123」の場合、誕生年は2012年ではなく1912年となります。
bbb: シーケンシャルな番号。男性は奇数、女性は偶数で構成されます。

民間利用

デンマークのデータ保護局は、信用販売を行う場合に限り、民間企業が顧客のCPR番号を照会することを認めています。民間企業や団体は、中央個人番号管理局に有料で照会することで、CPR番号に対応する個人の氏名と住所を知ることができます。ただし、その他の個人情報については閲覧できません。個人が照会する場合は、CPR番号と氏名の両方が必要です。また、CPR番号の所有者が自らの意思で番号の提供に同意した場合や、個人情報取得の目的が妥当と判断される場合には、企業や団体も情報を閲覧することができます。例えば、銀行口座の開設、ローンの申し込み、不動産契約などが挙げられます。

ビデオレンタル店の会員登録のように、名前と生年月日だけで十分な場合は、CPR番号の提供は不要とされています。一方、携帯電話の契約時には、テロ対策の観点から書類にCPR番号を記載することが求められます。同様に、求職時にも履歴書に住所、氏名、生年月日と併せてCPR番号を記載するのが一般的です。

関連事項

NemID: CPR番号を用いてインターネット上で個人認証を行うためのデジタル署名。

CPR番号は、デンマーク社会において個人認証の基盤として広く利用されており、行政サービスから民間サービスまで、生活のあらゆる場面で必要不可欠な存在となっています。

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