Cannon Lakeマイクロアーキテクチャ

Cannon Lake（キャノンレイク）とは

Cannon Lakeは、インテルが開発したマイクロプロセッサのコードネームです。Skylakeアーキテクチャをベースに、より微細な10nmプロセスで製造される初の製品として注目されました。しかし、製造上の課題から計画通りの展開とはならず、限定的な出荷に終わった経緯があります。

開発と経緯

Cannon Lakeは、当初2015年の出荷を目指していましたが、製造プロセスの遅延により何度も延期されました。2017年には動作デモやアナウンスが行われたものの、実際に出荷されたのは2018年のCESでの発表後、第8世代Intel Coreプロセッサの一部として限定的でした。この背景には、10nmプロセスの歩留まりが極めて低く、当初の目標スペックを満たせなかったという問題がありました。

この状況は、インテルがこれまで採用してきたチック・タック戦略の事実上の崩壊を招き、ムーアの法則の限界論を加速させる要因となりました。一方、モバイルおよびデスクトップ向けには、14nmプロセスを改良したCoffee Lakeが代替として投入され、市場ニーズに応える形となりました。

その後、インテルは10nm+プロセスを改良し、Ice Lakeの量産出荷を成功させました。

主な特徴

Cannon Lakeの主な特徴は以下の通りです。

10nmプロセス: インテル初の10nmプロセスで製造。
Palm Coveコア: 新しいPalm Coveアーキテクチャを採用。
AVX-512: 高度なベクトル処理命令セットAVX-512をサポートし、IFMA,VBMIも搭載。
SHA-NI,UMIP: セキュリティ関連の機能も強化。
Intel Gaussian & Neural Accelerator (GNA): AI推論処理を高速化するGNAを統合。
LPDDR4/X-2400: 低消費電力メモリに対応。
Gen10 Graphics (無効化): 第10世代GPUを搭載するも、無効化された状態で出荷。
最大EU数72: グラフィックス処理ユニットの最大実行ユニット数が72。
共有L3キャッシュ: キャッシュ容量が増加。
HDMI 2.0: 最新のディスプレイインターフェースに対応。
DSC: ディスプレイストリーム圧縮に対応。
CNL-PCH: 新しいプラットフォームコントローラーハブを採用。

製品ラインナップ

Cannon Lakeとして実際に出荷されたのは、モバイル向けのCannon Lake-Uのみです。デスクトップ向けのCannon Lake-S、ハイエンド向けのCannon Lake-EP、低消費電力向けのCannon Lake-Yは全てキャンセルとなりました。モバイル向けに搭載された第10世代GPUは、何らかの理由により無効化された状態で出荷されています。

Cannon Lake-U

Cannon Lakeシリーズの中で唯一出荷されたのが、モバイル向けのCannon Lake-Uです。低消費電力ノートPC向けに設計されましたが、その出荷数は限られています。

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