Cloudflare

Cloudflare（クラウドフレア）とは

Cloudflare, Inc.は、コンテンツデリバリネットワーク（CDN）、インターネットセキュリティサービス、DDoS防御、分散型ドメイン名サーバ（DNS）システムを提供するアメリカ合衆国の企業です。同社のCDNは、閲覧者とホスティングプロバイダー間でリバースプロキシとして動作し、Webサイトやモバイルアプリケーションのネットワーク保護、速度向上、および改善を実現します。

設立と成長

2009年、マシュー・プリンス、リー・ホロウェイ、ミチェル・ザトリンによって設立されました。2010年のTechCrunch Disruptカンファレンスでサービスが開始され、2011年にはLulzSecのWebサイトにセキュリティソリューションを提供したことで注目を集めました。2012年には、複数のWebホスティングプロバイダーとのパートナーシップにより、Railgunテクノロジーが実装されました。2014年には、当時最大規模のDDoS攻撃を軽減することに成功し、その後も大規模なDDoS攻撃への対応を続けています。

資金調達とM&A

設立以来、複数の資金調達ラウンドを実施し、Pelion Venture Partners、Venrock、New Enterprise Associates、Google Capital、Microsoft、Qualcomm、Baiduなど、多くの投資家から資金を調達しています。

また、CryptoSeal（2014年）、StopTheHacker（2014年）、Eager（2016年）、S2 Systems（2020年）など、複数の企業を買収し、サービス拡充を図っています。

提供サービス

Cloudflareは、以下の主要なサービスを提供しています。

DDoS攻撃対策: 「アンダーアタックモード」を提供し、JavaScriptチャレンジを通じてレイヤー7攻撃を軽減します。過去には、毎秒300ギガビットを超えるDDoS攻撃からSpamhausを防御し、毎秒400ギガビットを超える攻撃も軽減しています。
Webアプリケーションファイアウォール (WAF): OWASP ModSecurity Core Rule Setや独自のルールセットを併用し、Webアプリケーションを保護します。
DNS: エニーキャストネットワークを通じて、無料で高速なドメインネームサーバー（DNS）を提供します。W3cookによると、CloudflareのDNSサービスは、マネージドDNSドメインの35%以上を占めています。
1.1.1.1: 無料のDNSサービスを提供し、プライバシー保護を強化しています。「1.1.1.1 for Families」では、アダルトコンテンツやマルウェアをブロックする機能も提供しています。
リバースプロキシ: Webトラフィックのリバースプロキシとして機能し、SPDY、HTTP/2|HTTP_2、HTTP/3|HTTP_3、QUICなどの最新のWebプロトコルに対応しています。
コンテンツ配信ネットワーク（CDN）: エッジロケーションにコンテンツをキャッシュし、高速なコンテンツ配信を実現します。
レジストラ: ドメイン登録サービスを提供し、プライバシー保護とセキュリティを重視しています。
メールセキュリティ: カスタムメールアドレスの作成やメールルーティングの管理、送信メールのセキュリティ対策を提供します。

顧客と日本法人

Uber、OkCupid、IBM、Hubspot、Fitbitなど、多くの著名なWebサイトを含む2700万以上のWebサイトにサービスを提供しています。2020年7月には、日本法人であるCloudflare Japan株式会社を設立し、東京都千代田区にオフィスを構えています。

評価と課題

Cloudflareは、TechCrunchのCrunchies賞で「Best Enterprise Startup」を受賞し、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の「Most Innovative Network & Internet Technology Company」にも選ばれるなど、高い評価を受けています。また、世界経済フォーラムの「テクノロジー・パイオニア」やFast Companyの「最も革新的な企業」にも選出されています。

一方で、無料で簡単に利用できることから、テロ組織や海賊版サイトなどによる悪用も指摘されています。特に、著作権侵害対策においては、出版社との間で訴訟や和解が繰り返されており、違法コンテンツへの対策の甘さが問題となっています。

日本の大手出版社からは、海賊版サイトへの対策が不十分であるとして、損害賠償を求められる訴訟も発生しています。Cloudflareは、裁判所の命令に基づいてキャッシュを停止するものの、ドメインを変更されると効果が薄れるなど、根本的な解決には至っていない状況です。

まとめ

Cloudflareは、Webサイトの高速化、セキュリティ向上、DDoS攻撃防御など、インターネットの安定運用に不可欠なサービスを提供しています。しかし、違法コンテンツへの対策や悪用に対する対策が不十分であるという課題も抱えています。

今後のCloudflareが、これらの課題をどのように克服していくかが注目されます。

もう一度検索