Coffee Lakeマイクロアーキテクチャ

Coffee Lake（コーヒーレイク）とは

Coffee Lakeは、Intelが開発したマイクロプロセッサで、2017年 9月24日に正式発表されました。第8世代Intel Coreプロセッサとして製品化され、一部モデルはCoffee Lake Refreshとして2018年10月8日に発表され、第9世代Intel Coreプロセッサとなりました。本稿では、モバイル向けの第8世代Intel CoreプロセッサであるWhiskey Lakeについても解説します。

概要

10nmプロセスの立ち上げ遅延により、14nmプロセスのKaby Lakeの後継として開発されました。CPUコア数の増加やブーストクロックの向上など、性能強化が図られましたが、マイクロアーキテクチャはSkylakeのままです。製造プロセスも14nmですが、14nm++としてゲートピッチを84nmに緩めるなど、クロック向上のための最適化が行われています。CNL-PCHをワンパッケージ化したものは、開発コードが異なりWhiskey Lakeとなります。

2018年には、CPUコア数を増やしたCoffee Lake Refreshが登場しましたが、製造プロセスは変わらずダイサイズが増加しました。チップセットの14nm化も重なり、プロセッサの供給不足が発生しました。同年には、8086発売40周年を記念したCore i7-8086Kが限定発売されました。このCPUはCoffee Lake最速であり、Intelのx86互換CPUとして初めて単一コアで5GHzに達しました。この周波数は8086の規定クロック5MHzの1000倍という記念碑的な意味も持ちます。

この世代では、アウト・オブ・オーダー実行に起因するサイドチャネル攻撃の脆弱性が明らかになりました。これに対応するため、ハードウェアによる緩和策が導入され、性能低下を抑える努力が行われました。

Coffee Lake世代のプロセッサは、Windows 11以降のWindowsに正式かつ完全に対応しています。ただし、Windows 11以降へのアップグレードインストールや新規インストールには、セキュアブートやTPM2.0などのセキュリティデバイスが必要です。

特徴

- 14nm++プロセス: 14nm+と比較して約5.8%の性能向上。
- Skylakeコア: CPUコア数が増加し、最大8コアを実現。
- DDR4-2666対応: DDR3には非対応。
- UHD Graphics 600シリーズ: 最大ブーストクロックが向上。
- ソケット1151: Kaby Lakeとの電気的互換性はありません。
- 300シリーズのチップセット: 必須となります。
- USB 3.1のサポート: Gen2には14nmのCNL-PCH版が対応。
- プロセスルール: Kaby Lakeから最適化。

脆弱性対応

MeltdownやSpectreなどの脆弱性に対し、マイクロコードやソフトウェアの変更で緩和を進めましたが、一部のワークロードでは大きな性能低下を引き起こしました。そのため、Coffee Lake RefreshやWhiskey Lake以降のCPUでは、ハードウェアレベルでの防御が強化されました。2019年にはCascade Lakeで更なる対応が進められています。

製品一覧

Coffee Lake

デスクトップ向け

- i7・i5は6コア、i3は4コアとコア数が増加し、マルチスレッド性能が向上しました。
- ハイパースレッディング・テクノロジーはi7とPentium Goldのみに採用。
- ソケットはLGA1151ですが、Intel 300シリーズチップセット搭載のマザーボードが必要です。先代チップセットとの物理的互換性はありますが、インテルは公式には非対応としています。

- Coffee Lake-S: LGA1151v2ソケットに対応。

Coffee Lake Refresh

- 2018年10月8日発表。最大8コア構成となり、Core i9 9900K/9900KFはIntel初の5GHz駆動を実現。
- Core i7/i9では、Sandy Bridge以来となるソルダリング(STIM)を採用し放熱能力が向上。
- Meltdown V3、L1TFの脆弱性に対しハードウェアでの緩和策を導入(一部SKUを除く)。
- ソケット形状は第8世代と同一で互換性あり。

サーバー向け

- Coffee Lake-S: LGA1151v2ソケットに対応。

モバイル向け

- 最大6コアに強化され、モバイル向け初のCore i9が登場。
- Coffee Lake-B
- Coffee Lake-H
- Coffee Lake-U

組み込み向け

- Coffee Lake-S: LGA1151v2ソケットに対応。
- Coffee Lake-H

Whiskey Lake

- 2018年8月28日発表。15W以下のモバイル向け第8世代Intel Coreプロセッサ。
- 14nmのCNL-PCHを搭載し、USB 3.1 Gen2にネイティブ対応、Wi-Fi/Bluetooth MACを統合、オーディオDSPはクアッドコア化。
- Meltdown V3、L1TFの脆弱性に対しハードウェアでの緩和策を導入。
- Core i7-8665U/i5-8365UはvProに対応。