Comic Neue

Comic Neue：Comic Sansの進化形

Comic Neueは、2014年にクレイグ・ロジンスキとフラント・パパジアンによってリリースされたカジュアルなスクリプト体です。この書体は、広く普及している一方で批判も多いComic Sansを、現代的で洗練されたデザインに再構築することを目的としています。

デザインの背景

Comic Neueは、クレイグ・ロジンスキが、ヴィンセント・コナーレによって1990年代に制作されたComic Sansに触発されて生まれました。Comic Sansは、「世界で最も非難された書体」とも呼ばれています。ロジンスキは、Comic Sansを現代にふさわしいものにアップデートし、タイポグラフィの専門家を含む、より幅広い層に受け入れられる書体を目指しました。

彼は、オリジナルのComic Sansのグリフをベースに、新しい書体を「叩いて形作る」ようにデザインしました。オリジナルの字形を洗練させ、Comic Sansの人気の秘密である親しみやすさを維持しつつ、改善されたバージョンを作ることを目指しました。

開発の道のり

ロジンスキは当初、このプロジェクトを1か月で完了させるつもりでしたが、実際には3年の歳月を費やしました。当初は冗談のつもりで始めたプロジェクトでしたが、次第に真剣に取り組むようになり、最終的にThe MicroFoundryのフラント・パパジアンに、書体ファミリー全体の改良を依頼しました。

Comic Neueは2014年4月にリリースされ、英語以外の言語への対応を目的としたKickstarterキャンペーンでは、目標額を上回る資金を調達しました。オリジナルの書体は公式ウェブサイトから無料でダウンロードできますが、ロジンスキは将来的に、より完成度の高いバージョンを販売する可能性も示唆しています。また、Adobe Typekitのような書体制作会社やオンライン書体ライブラリでの採用も視野に入れています。

バリエーション

Comic Neueは、Comic NeueとComic Neue Angularの2種類のバリエーションでリリースされました。Comic Neue Angularは、ストロークの末端が角ばっているのが特徴です。ロジンスキは、Angularバージョンを「幸せな偶然」と表現しています。どちらのバリエーションも、ボールド、レギュラー、ライトの3つのウェイトがあり、それぞれにローマン体とイタリック体が用意されています。

リリース後には、他のヨーロッパ言語にも対応した書体の開発計画も発表されました。

評価

Comic Neueに対する評価は、概して好意的です。Co.Designのジョン・ブラウンリーは、Comic NeueがComic Sansを洗練させつつ、カジュアルさを維持することに成功していると評価しました。CNETのアマンダ・クーザーは、Comic Neueを「Comic Sansのより魅力的で世俗的な兄弟」と評し、ワシントン・ポストのケイトリン・デューイは、オリジナルの書体よりも改善され、Comic Sansを「再びクールなものにした」と感じています。The Vergeのジェイコブ・カストレネークスは、「スタイリッシュで細身でありながら、遊び心のあるカールを持ち、Comic Sansよりも読みやすい」と評しました。

一方で、オリジナルの持つ野暮ったさ、素人っぽさが残っているという批判もあります。コミック作家のマーク・エヴァニアは、Comic Sansよりも改善されているものの、プロの漫画家の水準には達していないと指摘しています。Comic Sansの原案者であるヴィンセント・コナーレは、Comic Neueにはカジュアルさが足りないとコメントしています。

ロジンスキは、Comic Neueに対する批判は、一般の人々よりも書体デザイナーから多く寄せられたと述べています。

Comic Neueは、Comic Sansのイメージを刷新し、より幅広い用途に適用できるようになった書体と言えるでしょう。

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