Common Management Information Protocol

Common Management Information Protocol（CMIP）は、ネットワーク管理を目的とした通信プロトコルです。ネットワーク管理アプリケーションと、管理対象となる機器やシステムとの間で情報をやり取りするための共通のルールを定めています。

このプロトコルは、ISO/IEC JTC 1|ISO_IEC JTC 1とITU-Tによって開発され、OSI（Open Systems Interconnection）のネットワーク管理モデルを規定するITU-T X.700シリーズ勧告の中で、プロトコル仕様X.711として定義されています。具体的には、ISO/IEC規格ではISO/IEC 9596-1、JIS規格ではJIS X 5762として規定されています。

CMIPは、管理対象に関する情報を定義し、管理対象に対して何らかのアクションを実行させたり、設定を変更したりすることが可能です。管理対象は、GDMO（Guideline for Definition of Managed Objects）というルールに従って記述され、X.500ディレクトリサービスのように識別名によって特定されます。

CMIPにおけるネットワーク管理システムの操作

CREATE：管理対象オブジェクトのインスタンスを生成します。
DELETE：管理対象オブジェクトのインスタンスを削除します。
GET：管理対象オブジェクトのインスタンスの値を要求します。
CANCEL_GET：既に発行したGET要求を取り消します。
SET：管理対象オブジェクトのインスタンスの値を設定します。
ACTION：管理対象オブジェクトに定義されたアクションの実行を要求します。

管理対象機器上の管理エージェントの操作

EVENT_REPORT：ネットワーク管理システムに通知や警告を送ります。

CMIPはセキュリティにも配慮しており、ネットワークで発生した異常事態に関する報告も柔軟に行うことができます。

歴史的背景と現状

CMIPは、IETFが設計したSNMP（Simple Network Management Protocol）に対抗して開発されました。SNMPと比較して、より強力な機能を持つように設計されています。例えば、SNMPでは管理対象機器の状態を変更する方法は"set"のみに限られますが、CMIPでは任意のアクションを定義できます。CMIPは、通信キャリア網の国際標準であるTelecommunications Management Network（TMN）の重要な技術として位置づけられ、組織間やベンダー間でのネットワーク管理の実現を目指していました。

しかし、インターネットの世界では、SNMPをサポートする機器が圧倒的に多く普及しています。この背景には、CMIPがSNMPと比較して複雑であり、実装にかかるコストが高いという要因があります。そのため、CMIPは主に通信キャリアが使用するような機器でサポートされています。

参考情報

RFC 1095: The Common Management Information Services and Protocol over TCP/IP
RFC 1189: The Common Management Information Services and Protocols for Internet
ITU X.700シリーズ勧告：CMIPが定義されている勧告

CMIPは、その高機能性にもかかわらず、複雑さ故にSNMPほど普及しませんでしたが、大規模な通信ネットワークを管理する上では依然として重要な役割を果たしています。

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