Compound Document Format

Compound Document Format（CDF）は、World Wide Web Consortium（W3C）によって開発された電子文書のためのファイルフォーマットです。このフォーマットは、単一のファイルの中に複数の異なる形式のデータを格納できる能力を持ち、その柔軟性が特徴です。

具体的には、CDFは、Scalable Vector Graphics（SVG）、Extensible Hypertext Markup Language（XHTML）、Synchronized Multimedia Integration Language（SMIL）、XFormsといった複数のフォーマットをサポートしています。これにより、テキストだけでなく、ベクター画像、インタラクティブな要素、マルチメディアコンテンツを一つのドキュメント内で統合的に扱うことが可能になります。

CDFは、単に異なる形式のデータを詰め込むだけでなく、それらのデータを構造化し、有機的に関連付けることを目指しています。この特性により、CDFは、複雑なレイアウトを持つ文書、インタラクティブなプレゼンテーション、動的なフォームなど、多様な種類の電子ドキュメントの作成に適しています。また、CDFは、文書の構造と内容を明確に分離することで、アクセシビリティの向上にも貢献します。これにより、異なるユーザー環境や支援技術でも、コンテンツを適切に利用できます。

CDFの登場以前は、複数の形式のデータを扱うためには、別々のファイルを用意し、それらをリンクさせる必要がありました。しかし、CDFは、これらのデータを一つのファイルにまとめ、管理を容易にしました。これにより、文書の配布、共有、アーカイブが効率的に行えるようになり、ユーザーは複数のファイルを管理する手間から解放されました。

しかしながら、CDFの普及は、必ずしも順風満帆だったわけではありません。特に注目すべきは、OpenDocument Foundation（ODF）との関係です。元々、OpenDocument Foundationは、OpenDocument Format（ODF）を推進していた組織でしたが、後にCDFの推進に転じました。この転換は、ODFの普及に影響を与え、OpenDocument Foundationの公式ウェブサイトは、2007年11月11日に停止されました。この出来事は、OpenDocument Foundationが事実上活動を停止したことを示唆していると考えられます。

CDFが開発された背景には、電子文書の複雑化と、それに対応するための技術的な要求の高まりがあります。今日のデジタル環境では、テキストだけでなく、画像、動画、インタラクティブな要素を含む複雑なドキュメントが求められています。CDFは、これらの要求に応えるために、多様なフォーマットを統合し、シームレスに扱えるように設計されました。

CDFは、電子出版、教育、ビジネスなど、幅広い分野での応用が期待されています。特に、複雑なレイアウトやインタラクティブな要素が求められる場面では、CDFの柔軟性が大きなメリットとなります。例えば、電子書籍、オンラインコース、高度なフォームなど、CDFを活用することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

CDFは、技術的な側面だけでなく、電子文書の未来を形作る上で重要な役割を担っています。今後、CDFがどのように発展し、どのような分野で活用されていくのか、引き続き注目していく必要があります。

関連情報

Official website
ARS Technica Feature
* The Standards blog "Putting the OpenDocument Foundation to Bed (without its supper)"

もう一度検索