Crystal (DOUBLEのアルバム)

『Crystal』は、日本の女性R&BデュオDOUBLEが1999年6月2日にリリースしたプロローグアルバムです。

通常、アーティストの最初のアルバムはファーストアルバムとして扱われますが、『Crystal』はDOUBLEにとって特別な位置づけの作品です。彼女たちが音楽性を追求する上で、初期の楽曲「For me」や「Desire」といった、後の活動方向性とは異なる楽曲も収録されていることから、自身の音楽の序章を意味するプロローグアルバムという形態で発表されました。

このアルバムには、シングル曲である『For me』、『Desire』、『BED』、『Shake』を含む全12曲が収録されており、豪華な制作陣が参加しています。プロデューサーには、日本の音楽シーンを代表する筒美京平氏や松尾潔氏、今井了介氏、Taku氏といったそうそうたるメンバーが名を連ねています。また、ゲストアーティストとして、ZEEBRA、RHYMESTERのMummy-D、MELLOW YELLOWのKoheiらが参加し、楽曲に彩りを添えています。

『Crystal』は、初回限定盤と通常盤の2種類がリリースされました。初回限定盤は、メンバーTAKAKOとSACHIKOの写真がプリントされたスケルトンシート、シルバーのジャケット、6色のブックレット、裏ジャケットが付属する豪華仕様となっています。通常盤もスケルトンシートと6色のブックレットは同じ仕様ですが、シルバーのジャケットと裏ジャケットは付属しません。しかし、どちらのバージョンも、スケルトンシートとブックレットを組み合わせることで、黄緑、オレンジ、青、赤、黄、ピンクの6種類のジャケットカラーを楽しむことができます。

楽曲制作においては、SACHIKOがリードボーカルと作詞を担当し、TAKAKOはコーラスと楽曲の方向性やアイデア提案を担当する役割分担がとられていました。楽曲ごとにアレンジは異なっていますが、全体としては、ブラックミュージックの影響が色濃く反映されたサウンドとなっています。「For me」や「Desire」に関しては、アルバム収録にあたりアレンジ、コーラス、フェイクなどが追加され、より洗練されたブラックミュージックテイストに仕上がっています。

特筆すべきは、このアルバムがリリースされる直前の1999年5月21日に、SACHIKOが急逝したという事実です。『Crystal』は、SACHIKOの遺作アルバムとなってしまいました。この悲劇的な出来事、そして当時のR&Bムーブメントの高まりという状況が相まって、『Crystal』は大きな話題を呼び、最終的に60万枚以上の売上を記録しました。現在も、DOUBLEの全作品の中で最も高い売上を誇るアルバムとなっています。

また、一部の販売店では、『Crystal』の2枚組スーパーアナログとaudio technicaのヘッドフォン（DOUBLE SUPER SISTERS MODEL限定グリーンカモフラージュ）が抽選でプレゼントされるキャンペーンも実施されました。

『Crystal』は、音楽的な完成度の高さ、豪華な制作陣、そしてSACHIKOの遺作という重みを含んだ、DOUBLEにとって非常に重要な作品であり、日本のR&Bシーンにおいても大きな足跡を残したアルバムと言えるでしょう。その後のTAKAKOのソロプロジェクトを経て、DOUBLEはファーストアルバム『double』をリリースしますが、『Crystal』が彼女たちの音楽的基盤を築いたことは間違いありません。

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